マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「す、すみませんっ……変なこと言って……」
「いや。それにしても意外だな。初花がそんなことを言うなんて」
「へ……?」
頬杖をついてじっと見つめてくるけれど、言葉の意図が分からず小首を傾げた。
「まるで、俺のことが気になっているようだ」
「気に……っ!」
ぱちぱちと瞬きを繰り返してから、ハッとして顔に熱が集まった。
「あっ、いや、違くてっ……! その、不快な思いにさせてしまってっ……!」
「どうして? 俺は気分が悪いなんて言っていないが?」
私なんかに気にされたって、不愉快に決まっている。
そう思ったけれど、彼の言葉は私の言葉を否定する。
(私は颯馬さんのお見合いを断るために恋人のフリを一度したくらいでっ……図々しいっ)
恥ずかしくなったのと、自分の厚かましい感情に首を横に振った。
「ところで、まだあの日の約束が果たされていないわけだが」
「あの日の約束……?」
「猫カフェ。行きたいと言っていただろう?」
彼をまだ、颯馬さんではなくSOMAさんだと思っていた時に約束した時のことを思い出した。
「そ、それは……でも、あの約束って、まだ……?」
「この間の埋め合わせもしたいし、俺も行きたかった。どうだ?」
バックれてしまったけれど、猫カフェに行きたいという気持ちは、今もまだ生きている。
それに、白鳥さんとの関係を否定されてホッとしている自分もいた。
(どうして……安心したんだろ……)
心のモヤが解消されるような気もして、彼の提案にこくりと頷いた。