マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「す、すみませんっ。お待たせして……」

家からコンビニまでは歩いて五分の距離にある。
気持ち駆け足で向かうと、コンビニから出てきた颯馬さんと目が合い、ぺこりと頭を下げた。

「いや、待ってない。さっき買い物終わったところだから」

片手で二本の飲み物を持ち、鍵で車のロックを開ける。
ランプが二度点灯したのは、車を持っていない私でも知っている高級メーカーのもの。
黒塗りのSUV。

「どうぞ」

助手席のドアを開けてエスコートされると、いそいそと駆け寄る。

「あ、ありがとうございますっ……」

頭を下げて車に乗ると、ふわりと、少し色気のある大人っぽい香りが漂っている。
中は綺麗に掃除されていて、座り心地もとても良い。
ドアを閉めると、颯馬さんが運転席に乗る。

「はい。ミルクティー」

差し出されると、両手で受け取り彼の方を見た。

「ありがとうございます。あ、あの、颯馬さん……お金……」
「いいよ……初花、今日いつもと違う感じがする」
「えっ……!」

話していると、じっと顔を見つめられ恥ずかしくて逸らしてしまう。
(な……なんで分かったんだろ……)
今日はいつもとメイクが違う。
それは、寝不足で顔色の悪い顔を隠すためだ。
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