マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「す、すみません……あ、あの……猫カフェは……?」
「あぁ、キャンセルの電話入れておいたから問題ない」
「~っ、すみません……!」
颯馬さんだけでなく、お店の人にまで迷惑をかけてしまい、罪悪感から胸が押しつぶされそうになる。
自分が悪いのに、涙が出そうになって、きゅっと唇を噛みしめた。
「お店の人も大丈夫って言ってたから」
「で、でも……颯馬さんにご迷惑をかけてしまって……」
こんなことをして、怒らない彼に一層罪悪感が芽生えてしまう。
「問題ない。俺はまた、初花を誘う理由ができたから」
「へっ……!?」
それはどういうこと――そう聞きたかったけれど、その言葉の続きを聞くよりも先に彼がドアを開けた。
ふわっと風に乗って潮の匂いが届く。
「ちょうど良い時間に目が覚めたな。少し歩かないか?」
「は、はいっ……あっ」
私もドアを開けようとした。
けれど、海での歩き方や過ごし方はスマホで調べていない。
「どうした?」
「あ、あの……少し、調べものをしても良い、ですか?」
そう言うと、鞄からスマホを取り出して彼に見せる。
けれど、彼は不思議そうに小首を傾げた。