マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「調べるって、何を?」
「その……海って、どうすれば良いのかなって……これ以上、颯馬さんにご迷惑をかけたくなくて……!」

私は至って真剣である。
彼にも、そう伝えたのだが彼はしばし固まったかと思えば「ふはっ」といつもの大人っぽい笑い方ではなく目尻を下げて口角を上げて笑った。

「そんな真面目に言うこと?」
「だ、だって……」
「そんなの調べなくたって、俺は来たことあるし」
「あっ。そう……ですよね」

会社の花形と呼ばれる営業部のエース社員。
芸能人のように整った容姿と華やかなオーラを持っている三十歳の男性。
そして、御曹司。
仕事ができて、見た目もよくて、おまけに御曹司。
私のように恋愛経験が乏しいというわけがない。
きっと、色んな女の人と来ているはず。
そう思うと、少し胸がきゅっと締め付けられる。

「コンビニでも言ったが、初花は自分が楽しいと思うだけで良い」

そう言うと、運転席のドアを閉めて助手席側に回り、ドアを開けてくれる。

「どうぞ」
「ありがとうございます」

ドアを開けてくれた彼にそう伝えると、彼がスッと手を差し出す。
大きく角ばった男性らしい手と颯馬の顔を交互に見て、小首を傾げた。
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