マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

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「はっ……! やっぱり、夢……か……よかった」

落ちていきそうな感覚は、机の上に突っ伏せて寝てしまっていたからだ。
(今……何時……)
この夢は、たまに見てしまう嫌なもの。
忘れた頃に、『忘れるなよ』と自分に言い聞かせるようにふと現れる大嫌いな思い出だ。
時間を確認しようとスマホを点けようとすれば、暗い画面に自分の顔が反射して映る。
そして、頬に違和感がありスマホから手鏡に持ち替えて正体を確かめた。

「さいっあく……」

頬には、できものができている。
けれど、今の生活を考えれば、できてしまうのも無理はない。
颯馬さんと出かけてから二週間が経った。
あの日以降も、ハンドメイドのネットショップの売り上げは順調である。
サイトを見てくれる人のために、と作った商品は出品してその日のうちに売れてしまうことが増えた。
作っては売れるというのを繰り返している。
忙しいけれど、嬉しい悲鳴だと思っている。
けれど、二週間前と違うのは、一週間前から経理部の仕事が忙しくなった。
というのも、経理部は下旬から月末にかけてとても忙しい。
そのため、残業も余儀なくされる。
残業とハンドメイドの多忙が重なるのは初めてのことで、作業中に寝落ちするということも増えていた。
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