マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
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午前七時五十分。
午前五時半にアラームで起きて、重い体を引きずるように身支度を整えてお弁当を作り、ぼんやりとしたまま軽く朝ごはんを済ませた。
まだ、ぽやぽやとした頭で会社に向かってエレベーターを待つ。
この時間にしては珍しく、誰もいない。
(ラッキー。待ち時間なくエレベーターに乗れるなんて)
小さな幸運に心の中でガッツポーズをした。
ぼんやりと視線を上げて、エレベーターがどこにいるかを見ている。
ゆっくりと一階に向かっているのを眺めていると背後から「おはよう」と男性から声を掛けられた。
振り返ればそこには、颯馬さんがいた。
「お、おはようございますっ」
頭を下げると、チンと短い音が鳴ってエレベーターが到着する。
二人でエレベーターに乗り、扉が閉まると颯馬さんが口を開いた。
「――初花。少し顔色が良くないんじゃないのか?」
「へ……?」
「最近はちゃんと寝ているのか?」
「え、えっと……」
実は昨日、机で寝落ちしてました。
なんて、冗談のように言ったら、颯馬さんはきっと本気で心配をするだろう。
「は、はいっ。今、経理部が忙しくて……」
「あぁ。月末だからな」
ごめんなさい、嘘を吐きました。
いや、経理部が忙しいのは本当なんですけど。
でも、それに納得してくれたようでホッと安堵した。