マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「俺、初花の家知らないし。倒れてそのまま放置するわけにもいかないだろ」
「倒れて……あっ」

ハッと思い出した。
私――昨日、櫻田くんに絡まれたんだ。
でも、それは颯馬さんが助けてくれて、そしたら何だか安心しちゃって……それで。
その先のことはぼんやりとしていていまいちよく思い出せない。

「昨日、一応病院に連れて行ったら、寝不足と疲労だって。薬も出してくれたから、とりあえずご飯食べて飲んだ方が良い。で、ご飯どうする?」
「え、えっと……ヨーグルト頂いても良いですか?」
「うん。じゃあ、リビングこっち」

ちょいちょいと手招きをする。
彼の後ろについて行くと、とても広いリビング。
こちらも、寝室同様にモノトーンで統一されていて、シックで大人っぽい部屋だ。

「それ、薬ね。そこ座っといて。ヨーグルト持ってくるから」

内服薬と書かれた白い紙袋が置いてある席に座る。
あまり人様の部屋をジロジロと見るわけにもいかない――そう思ったけれどソファーにある毛布が目に入る。
そして、「ふぁ……」と短くあくびをする彼。

「あ、あの……もしかして、颯馬さん……今日、ソファーでお休みになったんですか?」
「そりゃあ、初花がベッドで寝てたから。俺、寝るところないし」
「っ、す、すみませんっ……」

颯馬さんの言葉を聞いて、慌てて頭を下げた。
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