マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「そのままの意味。俺、初花のことが好きだ」
颯馬さんの目が、私を捕らえて離さない。
誰かに、好きと言ってもらえる日がくるなんて、ないと思っていた。
私も、この目を逸らすことができない。
「付き合うフリをしてくれって言ったの、今は後悔してる」
「そ、それって……」
私と、同じ気持ち――。
そう思って口を開こうとした瞬間。
「別に返事は今じゃなくて良い。もう言っちゃったから、手加減するつもりなんかない。本気で、俺を好きにさせたい」
そう言うと、颯馬さんは何事もなかったかのように「じゃあ、お大事に」と言う。
けれど、終われるわけがない。
「っ、わ、私もっ……好き、です。颯馬さんのこと……!」
「え、それって」
「それでは、ありがとうございましたっ。失礼しますっ」
私は、言い切って逃げる。
ドアを開けて一礼すると、ドアを閉めて駆け足で部屋に向かった。
部屋の前に着くと、鍵を開けて勢いよく部屋に入ってすぐにドアを閉めた。
(い、言った……! 言っちゃった……!)
まだ、心臓がバクバクといっている。
ドアに背を預けると、ブブッとスマホが振動する。
『お大事に。無理するなよ』
そうメッセージが入っていた。
彼は――いつもと変わらない。