マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました

「で、でもそういうのってお金とか……あと、知らない人に名前とか、個人情報知られるのも怖いし……」
「大丈夫だよ。このアプリ、女の人は無料だから。あと、本名でなんかやらないよ~。ハンドルネームっていうのかな。ほら! 初花ってハンドメイドのショップをネットで開いてるじゃん? その名前みたいなのでやるんだよ!」

ぽつり、ぽつりと出てくる不安を結衣が解消していく。
すると、だんだんと恐怖心も薄らいでいった。

「そう、なんだ……」
「嫌だと思ったら、アンインストールすれば良いんだし。物は試しで、どう?」

ネットということは、いきなり人に会うわけではない。
それなら――そう思い、一歩踏み出すつもりでこくりと頷いた。
もし、何かあったとしても、既にマッチングアプリをしている結衣がいるからこそ、前進できた。
結衣に教えてもらいながらアプリをインストールし、そのままプロフィール設定を進めていった。
このアプリは、恋人探しというより結婚を見据えた出会いを求める人が多いらしい。
アプリ上の名前は『RUI』で登録した。
この名前は、ハンドメイドショップと同じである。
苗字の波田を涙、るい、RUIと変換してできたものである。
そして、画像は載せた方が良いらしいけれど、私はそもそも人の集りに参加しないし、写真も苦手。
顔を載せる勇気はなかったけれど、せめて自分らしいものを――と思い、自作のアクセサリーをプロフィール画像に選んだ。
< 8 / 46 >

この作品をシェア

pagetop