マッチングアプリの待ち合わせ相手がまさかの営業部エース御曹司で思わずバックレたら、見合いを断るための偽装恋人を頼まれてしまいました
「みゃあっ」
いた。
私達が朝日公園へ行けば、遊具から少し離れた大樹の元にあるベンチの下で、日差しを避けるかのように居座っている。
私達が近づけば、『撫でて』と言わんばかりに腹を見せて寝転がっている。
「わ~。可愛い……」
「本当、人懐っこいよな。この猫」
そう言うと、颯馬さんが先にしゃがんで猫の腹をわしゃわしゃと撫でる。
「みゃっ、みゃぁっ」
嬉しそうに鳴いている。
良いな、羨ましい。
そう思うと、私も彼の隣にしゃがんで猫を撫でる。
「ふふっ。可愛い……」
「な? 本当、すごいよコイツ」
「ですね……っ!」
彼と同じ意見で、嬉しくなって顔を見合わせると――近い。
慌てて少し離れた。
「どうした?」
「す、すみません……近い、かなって」
「良いだろ。もう――ちゃんと付き合ってるんだから」
小さく笑うと、颯馬さんが私をそっと抱き寄せた。
「あっ……」
声が漏れて、彼の肩にトンと頭が当たる。
「あ、あの……わ、私って……本当に、颯馬さんとお付き合い……してるんですか……?」
「え、何その確認」
「その……お付き合いとかって、初めてで……その」
恥ずかしくて、もごもごと言葉に詰まってしまう。