魔法より、君に恋をする。
「楽しそうじゃねえか」

 後ろから声がした。

 振り向く。

 赤い髪。

「アレン先輩」

「……」

 アレンが眉を寄せる。

「何ですか?」

「いや」

「何?」

「今日は先輩なんだなと思っただけだ」

「あ」

 リリアは思い出した。

 二人の時だけ。

 昨日、そういう話になった。

「今はみんないるから」

「分かってる」

 そう答えながら、アレンは少しだけ機嫌が良くなった。

 セシルが何かを察したように二人を見る。

 ノアも見る。

 カイルまで見る。

「何だよ」

 アレンが全員を睨む。

「別に」

 ノアが笑う。

「何でもないです」

 セシルも笑う。

「……」

 カイルだけは何も言わない。

「クロフォード、てめえが一番ムカつく顔してんぞ」

「何もしてない」

「それがムカつく」

「アレン先輩」

「あ?」

「これ食べる?」

 リリアが鞄から小さな包みを出した。

 昨日、自分用に買った焼き菓子だった。

「……俺に?」

「機嫌悪そうだから」

「餌付けかよ」

「いらない?」

「いる」

 即答だった。

「食べるんだ」

「お前がくれるならな」

 包みを受け取る。

 ノアがまた小さく笑った。

「単純」

「聞こえてんぞ」

「聞こえるように言った」

「お前一回表出ろ」

「やだよ。昼休み終わるし」

 リリアは二人を見比べる。

「仲良いね」

「「どこが?」」

 声が重なった。

「そこ」

 セシルが笑った。
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