魔法より、君に恋をする。
三人が最初に立ち寄ったのは、大通りから一本入った場所にある魔法具店だった。

 天井まで棚が並び、魔石や杖、護符、魔力を込めて使う生活用品などが所狭しと置かれている。

「すごい」

 店へ入った途端、リリアの目が輝いた。

「……こんな顔するんだ」

 セシルが小さく呟く。

「何?」

「いや。楽しそうだなと思って」

「楽しい」

 リリアは棚から棚へ移動する。

 魔力で温度を保つ水筒。暗闇で光る小さな石。簡易的な防護結界を張る腕輪。

 その中で、リリアは小さな銀色の魔法具を手に取った。

「これ何?」

「方位針だね」

 ノアが答える。

「魔力を登録した場所の方向を示してくれる」

「買う」

「早い!」

 セシルが吹き出した。

「これがあれば迷わない」

「お前、方向感覚に自信あるんじゃなかったのか?」

「念のため」

「ついに認めた?」

「認めてない」

「頑固だな」

 値札を見る。

 リリアは固まった。

「……高い」

「魔法具だからね」

「やめる」

 即座に棚へ戻した。

「諦めも早い!」

「地図でいい」

「その地図で迷ってるんだろ」

「地図が悪い」

「まだ言うか」

 笑っているセシルの隣で、ノアは棚に戻された方位針をちらりと見た。

 それから何も言わず、リリアたちの後を追った。
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