【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
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「やああっと、終わったあ!」

 椅子に座ったまま万歳をする。モニターの時計を見ると午後九時だ。週の折り返しのせいか、オフィスには私以外誰もいない。ひとりきりをいいことに、椅子の背もたれに寄り掛かりながら思いきり「うーん」と背筋を伸ばした。

 ここのところ忙しくて先送りにしていた事務処理を、今日こそはとやっつけたのだ。営業事務は置いていないため、データ集計や入力、見積書、請求書の書類作成なども全部自分でしなければならない。

 途中、取引先から急遽ヘルプの要請があり出かけ、夕方帰社してから続きをやっていたらこんな時間になってしまった。

 販売の後のアフターフォローも営業の仕事のひとつなので、先方に行くのはまったく苦ではない。ただ事務作業が滞ってしまうのが難点だ。

 片方の手で肩をトントンと叩く。

「すっかり遅くなっちゃった。早く帰ろう」

 ノートパソコンをシャットダウンしてロッカーの中に入れる。フリーアドレス制はデスクに私物を残してはいけないのが難点だ。デスクの上の手帳や筆記用具を片づけていたら、突如スマートフォンがブブブと震えた。

「うぇっ」

 表示を見た瞬間、変な声が飛び出た。父だ。

 そういえば朝もかかってきてたんだった。

 昼休憩にかけ直そうと思っていたのに、バタバタしているうちにすっかり忘れていた。
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