【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 取りたくないなあ……。

 電話に出たらなにを言われるかわかっているからなおさらだ。

 三ヶ月前ほどからずっと、父は私に『見合いをしろ』と迫ってくる。

 父は地元で不動産業を営んでいる。曾祖父の代から続く『ミドリホーム』だが、残念ながら父の子は娘の私ひとり。だから私に婿を取らせて四代目にしたいのだ。

 そもそも父は、私が大学卒業後にミドリホームに就職と思い込んでいた。だから私が東京の会社に就職すると言ったときからずっと反対している。何度も説得を試みたけれど、父は聞く耳を持たなかった。最終的に私は、父の反対を押し切って上京した形となった。

 さすがに勘当とまでは言わなかったけれど、父は五年経った今もそれを根に持っている。だから今度こそ自分の思うようにしようと、会社に都合のいい縁談を持ってくるのだ。

 大好きなHFIを辞めるなんてとんでもない。そもそも父のために結婚する気もない。何度もそう言って断っているが、父は聞く耳を持たず、『いいから帰ってこい』の一点張りだ。

 ここ数か月の徒労を思い出し、震えっぱなしのスマホを片手に大きなため息をつく。

 このまま放っておこうかな。

 そう思うも、一回かかってきたら最後、私が電話を取るか折り返すまで執念深くかけ続けてくる。履歴だけ見たらストーカーかと思うほどの着信数だ。

 息を大きく吸ってから止める。と同時に、画面をタップした。
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