【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 こうしてはいられないと慌てて立ち上がる。

「うるさくしてしまい申し訳ございません」

 勢いよく頭を下げる。

「大丈夫ですから頭を上げてください、水鳥川さん」

 おずおずと顔を上げると社長がすぐそばに来ていた。

「大きな物音がしたのでなにかあったのかと思いまして」

「すみません……」

「謝らなくても大丈夫です。それよりなにかあったのですか?}

 社長が小首をかしげて顔を覗き込んでくる。横に流された前髪が軽く揺れて、銀縁の眼鏡の奥の瞳と目が合った。きれいすぎるほどに整った顔が間近にあり、今朝の出来事を思い出してドキッと胸が音を立てる。

「いえ、なんでもありません」

 加速し始めた鼓動を押さえるように声を落とすと、社長が「そうですか」と微笑んだ。夜九時を過ぎているとは思えないほどの爽やかさがまぶしすぎて、気づかれないようそっと目を伏せる。

「水鳥川さんには、今回のプロジェクトでの活躍を大いに期待しています」

「えっ⁉」

 思いがけない言葉に、思わず顔を上げた。目が合った社長が、ニコッと笑顔をくれる。

「あなたの普段の営業姿勢は耳に入っています。取引先へ媚びへつらったりはせず、真摯な姿勢と丁寧な説明で新規の顧客を増やしているそうですね」

「い、いえ……そんな……」

 唐突な賛辞に心の準備が追いつかず、思いきりうろたえた。
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