【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 あまりの剣幕に体がビクッと跳ねた。その拍子にスマホが手から滑り落ちる。床でゴトンッと音を立てた後、クルクルと回転しながら床の上を滑っていった。

 しまった……!

 慌てて追いかけようとしたところで社長室のドアが開いた。中から出てきた人物は予想通りの人。だからこそ信じられない。

「水鳥川さん」

 ほんの一瞬目を見張った社長は、すべてを覆い隠すかのように柔和な笑みを浮かべた。得体の知れないなにかに、ゾクゾクッと悪寒が走る。

 社長が足元に視線を落とした。

「これは水鳥川さんの落としものですか?」

 言いながらスマホを拾い上げた。

「あっ、はい、そうです。すみません、スマホを忘れたのに気づいて……取ったら取ったでうっかり落としちゃって」

 焦っていて自分でもなにを言っているのかわからない。

「そそっかしくてお恥ずかしいです」

 あははとごまかし笑いをしながら、頭の片隅では本能が、一刻も早くこの場から退散しろと警鐘を鳴らしている。

「拾ってくださってありがとうございました」

 スマホを受け取ろうと手を差し出したら、手首を掴まれた。

「ぎゃ!」

 予想外の動きに口から声が飛び出る。
< 26 / 47 >

この作品をシェア

pagetop