【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました

 社長がクツクツと肩を揺らす。

「『ぎゃっ』は初めて言われました」

「いや、だって、突然掴まれたら誰だって驚くでしょう⁉ というより、スマホを返してください」

「だめです」

「ええっ!」

 まさかの返答にさっきより大きな声が出た。

 どうして⁉

 口を開きかけたら、つかまれている腕をグイッと強く引かれた。バランスを崩してよろめく。顔がトンッと硬いものにぶつかると同時に、腰に腕を回された。

「聞いていたんでしょう?」

 耳のすぐそばで聞こえた低い声に、肩がビクッと跳ねた。見開いた目に紺色のジレが映る。いったいなにが起こっているのか状況がうまくのみ込めない。

「なにも言わないってことはビンゴか」

 いきなり変わった口調に、心臓がギュッと縮む。

 もしかしてさっきの電話を言っているの?

 とにかく少しでも早く『なんの話ですか?』としらを切らないと。急いでかぶりを振ったが遅かったようだ。

「まさか戻ってくるなんて想定外だったな」

 ため息交じりの声が耳にかかって、ゾクッとする。見た目は同じ人物の声のはずなのに、声から妙な色気がただよっている。
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