【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 本当に高遠社長なの? 実は一卵性の双子とか……。

「驚きすぎて声も出ない? それとも別人と疑っているとか」

 頭の中を覗かれたのかとドキッとする。勢いよく顔を持ち上げたら、フンッと鼻で笑われた。

「残念ながら双子でも影武者でもない。正真正銘、俺がHFI代表取締役社長の高遠充弦だ」

 社長はそう言うと、目を細めて口の端を持ち上げた。いつもの紳士な姿からはまったく想像もつかない、人の悪い笑みだ。

 信じられない……これが社長の本性なの?

「だまされたって顔だな」

「そんな……だまされたなんて……」

 思っていませんと続けようとしたけれど、口の中がカラカラで舌がうまく回らない。

「別にそう思ってくれて構わない。世の中だまされるやつが悪い」

「なっ!」

 耳を疑った。社長のセリフとは思えない。

 私が知っている社長なら、ここは『だましていてすみませんでした』と申し訳なさそうに謝り、理由を説明してくれるところだ。

 御曹司で起業家。誰もがうらやむような成功者でありながら、まったくえらぶったところのない人格者。それが私の知る高遠充弦だ。
 男女問わずHFI社員は皆、彼をリーダーとして慕っている。私もそのひとりだ。

 それなのに今目の前にいる彼は、不遜で強引。誰の意見にも耳を貸さない独裁者の気配すらある。
< 28 / 47 >

この作品をシェア

pagetop