【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました

第一章 ウラかオモテかケイヤクか


 十月初旬の朝。空は青々と澄みわたり、さわやかな朝の空気に秋の気配を感じながら、私、水鳥川(みどりかわ)珠希(たまき)は、足早に会社へ向かっていた。

 私が務めているのは『株式会社HFI(エイチエフアイ)』というUX(ユーエックス)デザイン会社だ。

 UXとは、『User(ユーザー) Experience( エクスペリエンス)』の略で、Web製品やサービスから得られるユーザー体験を意味する。
 インターネットを通じて生まれる〝体験を設計する〟のが、わがHFIの主たる仕事だ。

 例えば、ホームページのリニューアルで、以前より使いやすくなったとユーザーが感じるとする。その『使いやすくなった』を創りだすために、デザインやシステムを構築するのだ。

 HFIは設立直後から急成長を続け、十二年目の現在も業績は右肩上がり。社員も二〇〇名を越した。UXデザイン業界では大手と言っても過言ではない。

 そんな時代の波に乗る企業に勤めてはいるが、私自身は至って普通の、どこにでもいる平々凡々な二十七歳だ。
< 3 / 47 >

この作品をシェア

pagetop