【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
第一章 ウラかオモテかケイヤクか
十月初旬の朝。空は青々と澄みわたり、さわやかな朝の空気に秋の気配を感じながら、私、水鳥川珠希は、足早に会社へ向かっていた。
私が務めているのは『株式会社HFI』というUXデザイン会社だ。
UXとは、『User Experience』の略で、Web製品やサービスから得られるユーザー体験を意味する。
インターネットを通じて生まれる〝体験を設計する〟のが、わがHFIの主たる仕事だ。
例えば、ホームページのリニューアルで、以前より使いやすくなったとユーザーが感じるとする。その『使いやすくなった』を創りだすために、デザインやシステムを構築するのだ。
HFIは設立直後から急成長を続け、十二年目の現在も業績は右肩上がり。社員も二〇〇名を越した。UXデザイン業界では大手と言っても過言ではない。
そんな時代の波に乗る企業に勤めてはいるが、私自身は至って普通の、どこにでもいる平々凡々な二十七歳だ。