【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
「い……言いふらしたりしません」

「信じられるか。口ではなんとでも言える」

 社長の目から温度が消えた。

「昔話をしてやろうか」

 社長はそう言うと、突然会社を立ち上げたばかりの頃の話をしはじめた。

 社員がまだ数名しかいなかった頃、気が合うと思っていた社員に素の態度で接したら、相手は『騙されていた』と騒ぎ出した。けれど社長が紳士な態度を崩さなかったため、他の社員は誰も信じず、逆に嘘つきだと非難されたその人は、会社に居づらくなり、辞めていったそうだ。

「おまえもそうなりたいなら好きにすればいい」

 私……脅されているの?

 ゴクンと唾をのみ込んだら、社長が首を傾け、私の顔をのぞき込んでくる。

「そうなりたくないのか?」

 必死にうなずいた。ここを辞めるのは絶対に嫌だ。

「秘密は絶対に口にしません。忘れろと言われたらいくらでも忘れます。HFIでの仕事と比べたら、社長の性格がどうかなんて些事ですから!」

 私はどうにか社長にわかってもらおうと必死になった。

「たしかに、社長のいつもとはまったく違う様子には驚きはしました。でも! 騙されたとまでは思っていません。性格がどうであろうと社長は社長。これまでの業績に性格は関係ありません。なにより、私が会社のために尽力したいという気持ちはそんなことで揺らいだりしません!」

 ひと息に言いきると、社長が目を大きく見開いた。
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