【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 言われてみたらそうかもしれない。私なら既に社長の本性を知ってしまったので、新たに探すよりは手間が少ない。

「悩みが解決されれば精神的にも時間的にも余裕ができる。結果的に会社のためになるとは思わないか?」

 うっと言葉に詰まった。会社のトップを助けるのは社員としての務めだ。
 普段から仕事が恋人だと豪語しているし私だけれど、さすがに結婚まではプライベートすぎやしないかと躊躇する。

「なにも俺にだけ利がありわけじゃない。おまえだって俺と結婚すれば、田舎に連れ戻されずに済む。日本の法律では重婚は認められていない」

 なるほどたしかに。悪くない作戦かも……って、いやいやいや! いくら利害一致したからって結婚は結婚でしょ⁉

 頭をブンブンと振って、邪な考えを追い出す。
 相手は〝あの〟高遠社長だ。ふたりで食事に行くだけでも噂の的になるだろうに、結婚なんて……。全女性社員を敵に回せば仕事どころではなくなってしまう。

『私には無理です』そう言おうと口を開いたとき。

「契約だ」

「はい?」

 営業という職業柄〝契約〟という言葉に敏感に反応した。社長はそれを見逃さない。

「なにも一般的な夫婦になるわけじゃない。互いの利益のために婚姻という契約を結ぶだけだ」

「婚姻という契約………」

 すぐそばからきれいな双眸がじっと私を見つめる。視線の糸に搦(から)め捕(と)られたように身じろぎひとつできない。
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