【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 あ、これ……社長の香り。

 この家に来てからできるだけ意識しないように努めていたけれど、社長がまとう甘くスパイシーな香りが、ここでは色濃く感じる。気にせず寝ようと目を閉じたら、脳裏にオフィスでの密着がよみがえる。カッと顔が熱くなり、布団をかぶったら余計に社長の腕に包まれているみたいで落ち着かない。

 再三寝返りを打ったが眠れず、とうとう日付が変わってしまった。水でも飲んでいったん仕切りなおそうと思い、ベッドから出た。
LDKにつながるドアを開けるとリビングが明るい。暗闇に慣れた目をすがめる。

「どうした、寝つけないのか?」

 かけられた声に驚いて薄目を開けると、ソファーに社長が座っていた。

「いえ……ちょっと喉が渇いただけです」

 あなたの香りのせいで全然眠れません――とは言えない。

 社長はあれからずっと仕事をしていたのだろうか。私が就寝の挨拶をしたときと、まったく同じ姿勢だ。

 服装がスウェットの上下になっていて、前髪も全部下ろされているから、入浴は済ませたのだろう。リラックスした格好でも輝くような魅力が一ミリも減らないのは、引き締まった体と長い手足のなせる業だ。

 眼鏡がないせいで、絵画のように整った顔もはっきりと見える。
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