【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 まぶしくて思わず目を逸らし、キッチンに行く。水を飲んでいる間も、絶えずキーボードの音が聞こえていた。

 もしかして締切ギリギリとか? いや、まさか。社長に限ってそんなはずない。

 デザイナーやエンジニアの同僚たちから、よく納期に追われている話を聞く。けれど社長に限っては、いつも涼しげな顔で人の何倍も早く完璧な作品を完成させるそうだ。そのくせ経営者同士の付き合いや大企業相手の商談など、制作以外の仕事もこなしているというのだから、すごいとしか言いようがない。

 社長の体がいったいいくつあるのかは、わが社一番の七不思議となっている。だがそんな高遠社長だからこそ、HFIはこの十年で大きな躍進を遂げられたのだ。

 尊敬する彼が夜遅くまで熱心に仕事をしている姿を見て、声をかけずにはいられない。

「社長、なにかお手伝いできることはありますか?」

「いや、大丈夫」

 社長はこちらを一顧だにせずに断る。

「でも……もう夜中ですよ。そろそろ休んだ方が」

 食い下がったら、社長が視線を上げた。

「おまえこそ早く寝ろ。俺はいい。どうせ眠れない」

「え?」

 ぼそりと聞こえた言葉に目を見張った。

 どうせ眠れないって、どういう意味?
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