【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
「すみませ……っ」

 慌てて離れようとしたら、腰に当てられた手にグッと力を込められる。

「やっぱり俺を襲いたくなったか?」

「違っ――」

「俺はやぶさかではないけど?」

 社長がにやりと口の端を持ち上げる。

「なんだかいい匂いもするしな」

 社長が私のこめかみ辺りに顔を近づけて、スンスンと匂いを嗅ぐ。

「ひゃっ! ちょっ……なにをっ」

 身じろぎするが離れない。力ずくで抱きしめられている感じがないのに、社長の腕はびくともしない。社長はこともあろうか私の髪の中に顔をうずめてきた。

「こうしているとなんだか落ち着く……」

 こちらは全然落ちつきません!

 心臓がバクバクと音を立てていて、全身が汗ばむほど熱い。

 どうしたら放してもらえるの⁉

 硬い胸とたくましい腕に挟まれて、半分パニックになりながら必死に考えていたら、安らかな寝息が聞こえてきた。社長の胸が規則的に上下している。

うそ……寝てる……の?

 そろそろと顔を上げたら、社長の目が閉じている。眼鏡がないせいか目の下に隈があるのに気づいた。
< 45 / 47 >

この作品をシェア

pagetop