【秘密の溺愛シリーズ】 紳士な社長の秘密を知ったら、独占欲強火の愛で娶られました
 本当、しつこいんだから……。

 私はため息をついてから、スマートフォンを取り出そうとバッグの中に手を入れた。――が、思ったところにスマホがない。電車に揺られている間にバッグの奥にはいりこんでしまったのだろう。ごそごそとバッグの中を探している間にも、振動音は続いている。いっそこのまま無視してしまおうかと思ったとき、指先がスマホに触れた。

「あった」

 スマホを掴んで取り出そうとした瞬間、パンプスのヒールが階段に引っかかった。

「わっ」

 足元がふわっとして、体の重心が後ろに傾く。とっさに手すりに手を伸ばしたが、あと数センチのところで空振りした。

 落ちちゃう!

 衝撃に備えてギュッと目を閉じたそのとき、腕を掴まれ引っ張られた。背中がドンと硬いものに当たり、落下が止まった。

 助かった……!

 鼓動がドドドと加速している。階段から落ちたらどうなっていたか……。そうぞうするだけでゾッとするが、とにかく助けてくれた人にお礼をしなければ。

「ありが――」

 振り返った瞬間、息をのんだ。目の前にとてつもなく整った顔があったのだ。
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