鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
「ですからこちらが黛の嫁に求めるのはただひとつ。後継ぎです」
「え……」
一瞬遅れてその意味に気づいた。後継ぎとなる彼の子を産めということだ。そのためには――。
カーっと一瞬で顔が燃えるように熱くなった。慌てて顔を伏せたけれど、頭から湯気が出そうだ。
「母さん。今はその話は」
それまで黙々と箸を動かしていた彼が、夫人をたしなめた。
「そうね。それはまた追々」
夫人は何事もなかったかのように再び箸を動かしはじめた。
それからは伯父が彼から東京の大学病院の話を聞きたがり、医者同士の専門的な用語も混ぜつつふたりは会話をしていた。夫人はその間も黙って料理を口に運んでいる。
そんな彼らを横目に、私はどうやってこの見合いを断ってもらおうかと必死に考え続けた。
コースが残すところデザートだけになったところで、私は自分のお腹の限界を悟った。普段からたくさん食べる方ではないけれど、今日はいつも以上に入らない。
ここに来てからずっと緊張しっぱなしの上に、『ふたりをだましている』という罪悪感で食事がなかなか喉を通らなかった。
せっかくのお料理を残すなんてもったいないけれど……。
作ってくれた厨房の方々に『ごめんなさい』と心の中で謝りながら箸置きに箸を戻した。
「え……」
一瞬遅れてその意味に気づいた。後継ぎとなる彼の子を産めということだ。そのためには――。
カーっと一瞬で顔が燃えるように熱くなった。慌てて顔を伏せたけれど、頭から湯気が出そうだ。
「母さん。今はその話は」
それまで黙々と箸を動かしていた彼が、夫人をたしなめた。
「そうね。それはまた追々」
夫人は何事もなかったかのように再び箸を動かしはじめた。
それからは伯父が彼から東京の大学病院の話を聞きたがり、医者同士の専門的な用語も混ぜつつふたりは会話をしていた。夫人はその間も黙って料理を口に運んでいる。
そんな彼らを横目に、私はどうやってこの見合いを断ってもらおうかと必死に考え続けた。
コースが残すところデザートだけになったところで、私は自分のお腹の限界を悟った。普段からたくさん食べる方ではないけれど、今日はいつも以上に入らない。
ここに来てからずっと緊張しっぱなしの上に、『ふたりをだましている』という罪悪感で食事がなかなか喉を通らなかった。
せっかくのお料理を残すなんてもったいないけれど……。
作ってくれた厨房の方々に『ごめんなさい』と心の中で謝りながら箸置きに箸を戻した。