鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
「黛さん、今――」

「ああ、聞こえた。駐車場の方のようだ」

 彼は私を地面に下ろすと「ちょっと見てくる」と言って走りだした。彼の足は思っていたよりずっと速く、あっという間に後ろ姿が小さくなっていく。私はそれを必死に追いかけた。

 駐車場に入る道のところで大型バイクが横倒しになっており、ヘルメットの男性が倒れていた。黛さんが男性のそばにしゃがみ込んで容体を見ている。
 その手前でへたり込んでいる七十代くらいの女性が、近づいた私の顔を見て、青ざめた顔で口を開く。

「バイクが来たから道に端に寄ったの、そしたらバイクが蛇行して、こっちに向かって倒れてきて……慌てて避けようとしたら足がもつれて転んじゃって」

 女性は手首を反対の手で押さえながら震えている。私は羽織っていた黛さんのコートを彼女の肩に掛けた。

「紗雪! 一一九番だ」

 旺史郎さんは言うや否や、男性の胸の上に両手を重ねて置いた。肘を伸ばしたまま体重を乗せるようにしてグッグッと押し始める。

 心臓マッサージだわ!

 つまりバイクの人は心停止しているのだ。大ごとだと全身から血の気が引いた。震える手でバッグからスマホを取り出し、一一九番にかけながら彼のもとへ駆け寄る。

「スピーカーにしてくれ」

「はい!」

 すぐに通話が始まり、「救急です」と黛さんが話し出した。

「私、AED探してきます!」

 たしか近くにビーチ用の施設があったはずだ。そこならAEDがあるかもしれない。確証はなかったけれど、万が一でも可能性があるならと走り出した。
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