鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
 勤務場所が病院だった私は、これまで何度かAEDの講習を受けている。

 心拍回復のためには、全身に血液を送るポンプ機能を復活させる必要がある。そのために除細動器で電気ショックを与えないといけない。
 電気ショックの成功率は一分ごとに約七から十パーセント低下していくと講習で習った。つまり一分一秒でも早い方がいい。救急車の到着までは大体十分。時間との勝負だ。

 大粒の雨がひっきりなしに顔を打つ中、必死に施設まで走った。

「あったわ!」

 入り口から入ったすぐのところにAEDが見えた。施設の管理者を探している暇はない。

「急病人がいるのでお借りします!」

 息が切れている中、可能な限り声を張り上げ、私はAEDを抱えて来た道を走り出した。

 まるでバケツの水をひっくり返したような大雨で前が見えない。口を開けると雨が入り込んでくるが、構わず必死に足を動かした。

 駐車場に戻ると黛さんがびしょ濡れの状態で懸命に心臓マッサージを続けている。

「ありました!」

「助かった。だが濡れる場所では使えない。雨に当たらない場所でないと」

 言われてハッとする。電気を通すのだから濡れたらショートしてしまう。

 どこか雨が防げる場所は……。

 キョロキョロと辺りを見回す。遊歩道を挟んで砂浜と雑木林があるだけで、建物はなにもない。さっき私が行った施設までは連れて行くような猶予はない。

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