鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
 黛さんが男性に何度か呼びかけると、うなるような声が聞こえた。発語が回復したのだ。彼は男性の意識が落ちないよう男の子達に呼びかけ続けるよう頼むと、こちらへやってきた。女性の前で膝をつく。

「お待たせしました。見せてもらえますか」

 うなずいた女性に、彼は痛む場所を聞いて触診していく。

「手をついたときに負傷したのでしょう。骨折の可能性もありますので、念のため固定しておきましょう」

 彼は傘を持ってきて、女性の腕に当てる、そしてポケットから出したハンカチで彼女の腕にくくった。

「これも使ってください」

 私も自分のハンカチを渡すと、「ありがとう」と彼はそれでもう一カ所をくくる。傘が添え木の役割をした。

「ありがとうございます。すごく楽になりました」

 女性の顔のこわばりがやわらいだ。

 遠くから聞こえてきた救急車のサイレンに、心底ほっとする。その場の空気が一気に明るくなった。

 到着した救急車には救急救命士がいたようで、黛さんはその方としばらく話をしていた。おそらく男性の状態を説明していたのだろう。

 その後救急車に収容されたふたりを見送り、男の子達にお礼を言って解散となった。

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