鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
「なにそれっ、そんなの瑠奈に関係ないし」
「うちが潰れたら、おまえだって今までみたいな贅沢はできなくなるんだぞ。それでいいのか?」
「い……嫌よ」
瑠奈が不満そうにつぶやく。
羽野医院の経営状態はいよいよよくないらしい。経理を扱う私は薄々気づいていたけれど、家業にまったく興味のない瑠奈には寝耳に水だったのだろう。
込み入った話になりそうね……。
持ってきた書類で今日中に決裁が必要なものはない。出直した方がよさそうだ。
「あとでまた参ります」と口にしてきびすを返したとき。
「そうよっ、この子がいるじゃない!」
大声と共に指をさされてビクッと肩が跳ねた。嫌な予感がする。
「うちとの縁談って言うならこの子だっていいはずよ。だってこの子は〝うちの子〟なんでしょ!」
「いや、だが、あちらが欲しいのは……」
叔父が濁した言葉の先は、容易に想像できた。おそらく先方が欲しがっているのは、〝羽野の血統〟だ。
羽野医院は小規模の病院だが、実は血統がかなり古い。遡れば江戸時代、御典医を務めたほどの医師家系だ。今の院長である伯父はその五代目。彼の血を引く子は瑠奈ただひとりだ。
「うちが潰れたら、おまえだって今までみたいな贅沢はできなくなるんだぞ。それでいいのか?」
「い……嫌よ」
瑠奈が不満そうにつぶやく。
羽野医院の経営状態はいよいよよくないらしい。経理を扱う私は薄々気づいていたけれど、家業にまったく興味のない瑠奈には寝耳に水だったのだろう。
込み入った話になりそうね……。
持ってきた書類で今日中に決裁が必要なものはない。出直した方がよさそうだ。
「あとでまた参ります」と口にしてきびすを返したとき。
「そうよっ、この子がいるじゃない!」
大声と共に指をさされてビクッと肩が跳ねた。嫌な予感がする。
「うちとの縁談って言うならこの子だっていいはずよ。だってこの子は〝うちの子〟なんでしょ!」
「いや、だが、あちらが欲しいのは……」
叔父が濁した言葉の先は、容易に想像できた。おそらく先方が欲しがっているのは、〝羽野の血統〟だ。
羽野医院は小規模の病院だが、実は血統がかなり古い。遡れば江戸時代、御典医を務めたほどの医師家系だ。今の院長である伯父はその五代目。彼の血を引く子は瑠奈ただひとりだ。