鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
 伯父は本当なら瑠奈に婿養子を取らせて後継ぎにしたかったはずだ。けれど継ぐべき羽野医院がなくなればそれどころではない。黛総合病院の傘下に入って羽野医院が生き残る道を選んだのだろう。

 伯父が言葉を濁したのは、私が羽野の血筋ではないからだ。私は伯父の養女だった。

 私は小学校に入ってすぐの頃、両親を事故で亡くした。父と母が乗った車に脇見運転のトラックが突っ込んだのだ。私は小学校に行っていて同乗していなかった。

 ひとりぼっちになった私を引き取ってくれたのは、母の姉――私にとっての伯母だった。伯母は仲のよかった妹の死を嘆き悲しみながらも、姪である私を実の子と分け隔てなく愛情をもって育ててくれた。その伯母も五年前に病気で亡くなった。

 一方で伯父は、かわいがるのは血のつながった娘である瑠奈だけ。私にはほぼ無関心だった。だから養子になった後も、私は彼を『父』と思えたことはないし、伯父もまた、私にそう呼べとは言わなかった。

 伯父は由緒正しい羽野医院の院長として、親を亡くした幼い親族を放置するのは世間体が悪いと判断したのだろう。だから私を引き取るだけでなく籍も入れた。
 そんな裏事情を、私は大きくなるにつれ悟っていった。

 けれど伯父を恨む気持ちはいっさいない。両親の保険金はあれどそれだけで幼い自分がひとり生きていけるはずがない。なに不自由ない暮らしを与えてくれた伯父には、心から感謝している。

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