鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
「さすがにそれは――」

「紗雪、おまえが見合いに行きなさい」

 断ろうとした私の言葉を伯父の声が遮った。

「待ってください、伯父さん。それでは先方をだますようなもの――」

「うるさい! あちらは『縁談成立が黛会に入れる条件だ』と言っていたんだ。おまえも羽野の一員じゃないか」

「それは……」

 養子の私では条件を満たせない。条件の要を黙って変更されたら、相手は騙されたと怒ってしまうだろう。
 そうわかっているのに『養子の私ではだめです』とは言えない。十六年間の恩を否定するような発言はできなかった。

「見合いは来週の土曜だ。忘れないように」

 伯父はそれだけ言うと私を院長室から追い出した。

 閉まるドアの隙間から、瑠奈の勝ち誇ったような笑い声が聞こえてきた。

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