鉄仮面救急医は、再会した身代わりママを猛愛包囲で逃がさない【秘密の溺愛シリーズ】
 いったいどんな人なのだろう。瑠奈は恐ろしいと騒いでいたけれど、本当だろうか。瑠奈は私とは違って交友関係が広いので色々な情報が入ってくるようだけれど、どこまで真実なのかはわからない。

 伯父は羽野医院が生き残るための縁談だと話していたけれど、お見合いの場を設けているのだから本決まりではないのだろう。実際に会ってみて、あちらがだめだと思えば断られるはずだ。

 いつもおしゃれで美容に手を抜かない瑠奈ならいざ知らず、私のような野暮ったい女を大病院の御曹司ドクターが気に入るわけがない。
 私は男性受けのいい見た目でも性格でもないし、男女交際の経験もない。そもそも学生時代はアルバイトに明け暮れていたので、誰かを好きになる余裕もなかった。

 きっとすぐにお断りされるはず……。

 心の中でつぶやいたとき、「失礼いたします」と声がした。

 ドキンと心臓が大きく跳ねる。開いたふすまから入ってきた男性を見て、私は無意識に息をのんだ。

 嘘……あのときの……?

 鴨居とほぼ同じ高さにある顔は、目を見張るほど整っている。
 小さくてシャープな輪郭に、涼しげな切れ長の目と高い鼻梁、薄い唇が収まっている。まるで緻密な計算のもと生み出された芸術品ように完璧な配置だ。
 綺麗な顔立ちだが、キリリとした太い眉と清涼感のある黒髪メンズショートが、精悍さを際立たせている。
 一九〇センチ近くありそうな背丈に、逆三角形の上半身と長い手足。そんな日本人離れした体形にしっくりとなじんだ三つ揃えスーツは、間違いなくオーダーメイドだろう。

 一度見たら忘れられないほど魅力的な容姿の持ち主。間違いない。彼は昔、私を助けてくれたドクターだ。

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