君と僕との最後の一週間
むしろ僕の方が海兎に迷惑ばかりかけて、何も出来ていない。でもそれを言ったら海兎、きっと“そんなことはない!”って言ってまたさっきの繰り返しになっちゃうから言わない。
「海兎。本当にありがとうございます。でも、良いですよ?
僕は運命を受け入れます。
だってこんなに僕の為に一生懸命になってくれる海兎を見たら、もう良いかなって思ったんです。
」
「雪流……?」
「だってそうでしょう?世界には、長生きしたって一生愛する人に出会わない人もいる。
産まれて直ぐに死んで、しまう子どもだっている。
それを思えば、僕は幸せです。海兎に出逢えて。とっても幸せだった。楽しかった。
両親を亡くした僕を引き取ってくれた施設の人、優しく強く育ててくれた。
いろんな事を教えてくれた本屋さんの店長さんや店員さんたち……」
雪流は昔を思い出すように遠くを見つめ話だした。
「学校の先生や友達も、病院の先生や看護師さん達。
いろんな人に出逢えて、僕は、僕の人生はとても意味あるものだったと思うから………
だから………海兎。
」
そして、真っ直ぐにその銀灰色の瞳を俺に向けた。