元カレ弁護士の恋事情
それから、バーを出て二人で歩いた。
お酒が入っているせいか、いつもより少しだけ気持ちが浮ついている。
「でも、本当にいいの?」
「何が?」
「だって、十年以上だよ。お互い変わってるだろうし、今回だって、く……誠治くんに助けられてばかりで」
危うく、また〝久我さん〟と呼びそうになってしまった。
誠治くんは私の言葉には答えず、ふと口を開いた。
「映美が絵を描いていたこと、知らなかったな」
「う、それは……」
誰にも言わずに続けてきた、私だけの趣味。
まさか、こんな形で知られることになるなんて思わなかった。
「東都ダイニングに就職したことも知らなかった」
「うん……?」
それは、別れたと思っていたし、連絡もできなかったから……。
「知らない映美がいっぱいいるんだ」
誠治くんは、まっすぐに私を見つめた。
「知っていきたい」
たったそれだけの一言が、私の胸を熱くした。
昔の私だけじゃなくて、今の私を。
これまで離れていた時間分の知らない一面、全部。
そう言ってくれているような気がした。
嬉しくて、恥ずかしくて、どうしようもなく胸がいっぱいになる。
私も、もちろん同じ気持ちだ。
そう思っていると、誠治くんの腕がこちらに伸びてきて、ふわりと抱きしめられた。
温かい腕の中、あの頃と変わらない誠治くんの、匂いがする。
「十二年分、抱き潰すから」
言われて、首から上が瞬時に熱くなり、頭を彼の胸に預けた。
「お手、柔らかに、お願いします……」
気持ちに応えるように、誠治くんの背中に手を回す。
離れていた十二年の時間も、今の私たちを形作った大切な一部。
これからは、知らないあなたを知っていきたい。
そして、あなたにも今の私を知ってほしい。
もう二度と、すれ違わないように。
今度こそ、同じ未来を歩いていけるように──。
二人で誓いを立てるように、夜空の下、私たちは自然と唇を重ねていた。
お酒が入っているせいか、いつもより少しだけ気持ちが浮ついている。
「でも、本当にいいの?」
「何が?」
「だって、十年以上だよ。お互い変わってるだろうし、今回だって、く……誠治くんに助けられてばかりで」
危うく、また〝久我さん〟と呼びそうになってしまった。
誠治くんは私の言葉には答えず、ふと口を開いた。
「映美が絵を描いていたこと、知らなかったな」
「う、それは……」
誰にも言わずに続けてきた、私だけの趣味。
まさか、こんな形で知られることになるなんて思わなかった。
「東都ダイニングに就職したことも知らなかった」
「うん……?」
それは、別れたと思っていたし、連絡もできなかったから……。
「知らない映美がいっぱいいるんだ」
誠治くんは、まっすぐに私を見つめた。
「知っていきたい」
たったそれだけの一言が、私の胸を熱くした。
昔の私だけじゃなくて、今の私を。
これまで離れていた時間分の知らない一面、全部。
そう言ってくれているような気がした。
嬉しくて、恥ずかしくて、どうしようもなく胸がいっぱいになる。
私も、もちろん同じ気持ちだ。
そう思っていると、誠治くんの腕がこちらに伸びてきて、ふわりと抱きしめられた。
温かい腕の中、あの頃と変わらない誠治くんの、匂いがする。
「十二年分、抱き潰すから」
言われて、首から上が瞬時に熱くなり、頭を彼の胸に預けた。
「お手、柔らかに、お願いします……」
気持ちに応えるように、誠治くんの背中に手を回す。
離れていた十二年の時間も、今の私たちを形作った大切な一部。
これからは、知らないあなたを知っていきたい。
そして、あなたにも今の私を知ってほしい。
もう二度と、すれ違わないように。
今度こそ、同じ未来を歩いていけるように──。
二人で誓いを立てるように、夜空の下、私たちは自然と唇を重ねていた。


