パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
 呟くような声だったせいで聞き取れず聞き返したものの、高瀬さんはどこか含みのある笑みを浮かべるだけで、それ以上は何も言わなかった。まるで最初から答えるつもりなどなかったかのように、そのまま話題を変える。

「今日はお仕事ですか?」
「あ、はい。もう終わりましたが、通訳を担当していたお客様のお見送りでした」
 そう答えると、高瀬さんはちらりと腕時計へ視線を落とし、時間を確認してから改めて私を見つめた。

「連絡はいただけそうにないので、少し強引なお誘いになりますが……これから、お礼にお食事でもいかがですか? まだ制服なので、着替える時間だけ少しお待ちいただくことになりますけど」

 あの日、タクシーを降りる時にもう少し話してみたかったと思った気持ちが、一気によみがえる。
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