パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
 そんなある日の午後。私は子どもたちと一緒に厩舎へ行き、三人のお気に入りの馬に会ったあと、近くの芝生で休むことにした。

 木陰にレジャーシートを広げると、湊は持ってきた図鑑を開き、朝陽はさっそくボールを転がし始める。柚希はおやつの袋を大事そうに抱えながら、その中身を確認していた。

 いつもと変わらない休日だった。
 私はそんな三人を眺めながら、厩舎へお礼を言いに行こうと立ち上がりかけた。

「君たち」

 不意に聞こえた男性の声に、身体がぴたりと強張る。隣で図鑑を読んでいた湊が顔を上げたのがわかったが、私は振り返ることはできなかった。

 聞き覚えがありすぎる、その声。顔を見なくても、誰のものかわかってしまう。

< 6 / 61 >

この作品をシェア

pagetop