パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
 そうだった。彼は、優しい人だった。
 
 とても――。
 そんなことを思い出してしまう自分が嫌でたまらなかった、その時。

「美桜(みおう)、お客様が牧場も見学したいって……!」
 聞き慣れた明るい声が響いた。
「美鈴(みすず)おばちゃん!!」
 三人の声が一斉に弾む。
「こら、三人とも。お姉さんって呼びなさいって言ってるでしょう?」
 いつもなら笑ってしまうやり取りなのに、今の私には何も耳に入ってこない。

「……美桜?」
 背後から、低い声が聞こえた。
 私の名前を呼ぶ声。
 それだけで、心臓が大きく跳ねる。

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