最弱探偵
【19 鋭利な刃物(7)】
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・【19 鋭利な刃物(7)】
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そのスポットは背もたれの無いイスが三個置いてあり、囲まれた木々の向こう側は少し傾斜になっていて、近くに小さな小川が流れていた。一昨日から昨日の夕方まで雨だったらしく、小川の流れは若干早そうだ。
その時に神楽さんから、
「学校側もまだ全然捜索していないみたいだよ、ずっと裏山は通行止めというか入山禁止にしていたみたいで」
ふと僕は、
「でも無理したら入れますよね、ただテープを張って入山禁止にしているだけですよね。夜に決定的証拠を隠しに軍団で入るとか可能ですよね」
神楽さんはフッと笑ってから、
「って、思うじゃん? でも実際はこの裏山、道中に監視カメラいっぱいあんの。さすがにスポット全部には無いけども、通り道とか、ちょっとした獣道にも広域な監視カメラがあるんだってさ」
虎太郎お兄ちゃんは相槌を打ちながら、
「でも犯行シーンは映って無かった、と」
「そう。現にここのスポットには監視カメラが無いからな。スポットはとにかくいっぱいあるから、スポットへ行くための道だけに監視カメラがあればいいってことなんじゃないかな。各々のスポットへの十字路に置いてある的な。実際は十字以上にわかれているけどもな」
その時だった。僕は一つ、気になるモノを見つけた。
「これ、水筒……?」
すぐに虎太郎お兄ちゃんが飛びつくように近付いてきた。
神楽さんもこっちへ来て。虎太郎お兄ちゃんは僕が持ったソレを受け取り、
「水筒ですね、それも保温性に優れた非常に良い品物です」
神楽さんはデカい声で、
「マジかよ! 高級なメーカーのヤツじゃん! 俺! これ欲しいわ! 大会に持っていく!」
虎太郎お兄ちゃんはすぐにその水筒をビニール袋の中に入れて、うんと頷き、
「これはリュックサックに入れましょう。見つけたことは神楽さんも龍も秘密にしてください」
神楽さんは「おっ」と声を出してから、
「重要証拠ってか、マジかよっ」
僕も同調した。
三人で元いた場所に戻ってくると、全員レジャーシートに座って、まあ女子の会話って感じでいっぱい喋っていた。早坂先生は心なしかうんざりしているような面持ちをしていた。
王茶先生だけ自分のミニトマトを一人でもぐもぐ食べている。王茶先生って水分が多い食べ物が好きなのかな。
虎太郎お兄ちゃんはイスとテーブルのほうに座ったので、僕も神楽さんもそちらに座った。
僕と神楽さんが座ったことを確認すると、虎太郎お兄ちゃんはすぐに立って、
「ここからは正直に答えてほしいです!」
とデカい声を出して、女子たちの会話を止めた。
早坂先生は即座に、
「何か分かったのかい!」
と言って、虎太郎お兄ちゃんのほうに顔を向けた。
小百合さんは目を見開き、驚いているようで、鯖井さんは何だかちょっと会話の邪魔されたことに憤っているようで、御嬢さんは何故か俯いた。
王茶先生は嬉しそうにバンザイして、ちょっと抑えた声で「おちゃまー」と言った。神楽さんはうんうんと頷いている。
虎太郎お兄ちゃんは言う。
「この中に、あの関田さんが被害に遭ったスポットへ、被害者である関田さんに呼び出された人がいますよね」
すると神楽さんが目を皿にしながら、
「マジかよ! 関田が呼び出されたと思ったら、関田が呼び出していたのかよ!」
虎太郎お兄ちゃんは「はい」と言ってから、
「多分関田さんはそこが監視カメラの無いスポットだと知った上で、誰かを呼び出していたのです。関田さんは呼び出したほうだから後ろを向いているんです。きっと奇襲をかけるために、自分の状態を伺わせないように」
小百合さんがいぶかしげに、
「奇襲ってー……何ー……?」
虎太郎お兄ちゃんは少し言いづらそうに、
「もしかしたら、セクハラまがいの行為をしてやろうと思っていたのかもしれませんね」
「そんなわけー! ないー!」
とデカい声をあげたのは小百合さんだった。すぐに口をつぐんだわけだけども、神楽さんが少し追い詰めるように、
「は? どゆこと? 小百合なんか知ってんの? 知っててずっと黙っていたわけ? マジかよ!」
小百合さんはうなだれるように俯いた。
すると鯖井さんがデカい声で、
「小百合! もしかすると犯人知ってるのっ? 小百合は探偵なんでしょ! 言いなよ!」
小百合さんは「あー!」と声を荒らげると、
「言えるはずないじゃーん! そういうことなんだからー! 言ったら小百合が悪者になっちゃうー!」
すると神楽さんが指差しながら、
「早坂だな! 早坂が犯人だから小百合がかばったんだな!」
と早坂先生を指差した。
すると早坂先生は急に俯いたと思ったら、
「もうダメですね……そうです、ぼくが犯人です……」
と、なんと自白したのだ!
すぐに早坂先生が、
「ぼくと関田くんが口論になっているところを目撃したんですよね」
と言うと、鯖井さんが小百合さんの両肩を掴みながら、
「嘘でしょ! 嘘だって言ってよ! 小百合違うでしょ!」
小百合さんはデジタルカメラを近くにいた王茶先生に差し出しながら、
「ここにー、口論になってつかみ合いになっているー、映像がありますー……」
と言い、王茶先生がそのデジタルカメラを受け取り、中を見始めて、ついに、
「おちゃまー! これだわ!」
と言って立ち上がり、テーブルのほうへ来て、王茶先生は虎太郎お兄ちゃんと僕に見せるように、そのシーンを再生した。
神楽さんも後ろで見ていたようで、
「早坂! 関田を刺すなんて!」
「していませんよね」
と、まるで神楽さんの言葉と合わせるように、虎太郎お兄ちゃんがそう言った。
そう言われた神楽さんは「マジかよ!」と声をあげて、天を仰いだ。
虎太郎お兄ちゃんは言う。
「早坂先生、生徒をかばっていますね。まずそのかばっている生徒から『関田に呼び出されたから代わりに行ってほしい』と言われて行って、そこで関田さんを止めようとしたんですよね」
鯖井さんが甲高い声で、
「嘘! 嘘っすよね! 早坂先生がかばうなんてそれこそ好きってことっすよね! 両想いっすか!」
早坂先生はすぐさま、
「両想いのはずがない! 好きなはずがない!」
と声をあげたわけだけども、虎太郎お兄ちゃんが即座に、
「その言いっぷりですと、誰か、何らかの人物が一人いたということは確定ですね」
早坂先生は失態があったような面持ちをした。
・【19 鋭利な刃物(7)】
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そのスポットは背もたれの無いイスが三個置いてあり、囲まれた木々の向こう側は少し傾斜になっていて、近くに小さな小川が流れていた。一昨日から昨日の夕方まで雨だったらしく、小川の流れは若干早そうだ。
その時に神楽さんから、
「学校側もまだ全然捜索していないみたいだよ、ずっと裏山は通行止めというか入山禁止にしていたみたいで」
ふと僕は、
「でも無理したら入れますよね、ただテープを張って入山禁止にしているだけですよね。夜に決定的証拠を隠しに軍団で入るとか可能ですよね」
神楽さんはフッと笑ってから、
「って、思うじゃん? でも実際はこの裏山、道中に監視カメラいっぱいあんの。さすがにスポット全部には無いけども、通り道とか、ちょっとした獣道にも広域な監視カメラがあるんだってさ」
虎太郎お兄ちゃんは相槌を打ちながら、
「でも犯行シーンは映って無かった、と」
「そう。現にここのスポットには監視カメラが無いからな。スポットはとにかくいっぱいあるから、スポットへ行くための道だけに監視カメラがあればいいってことなんじゃないかな。各々のスポットへの十字路に置いてある的な。実際は十字以上にわかれているけどもな」
その時だった。僕は一つ、気になるモノを見つけた。
「これ、水筒……?」
すぐに虎太郎お兄ちゃんが飛びつくように近付いてきた。
神楽さんもこっちへ来て。虎太郎お兄ちゃんは僕が持ったソレを受け取り、
「水筒ですね、それも保温性に優れた非常に良い品物です」
神楽さんはデカい声で、
「マジかよ! 高級なメーカーのヤツじゃん! 俺! これ欲しいわ! 大会に持っていく!」
虎太郎お兄ちゃんはすぐにその水筒をビニール袋の中に入れて、うんと頷き、
「これはリュックサックに入れましょう。見つけたことは神楽さんも龍も秘密にしてください」
神楽さんは「おっ」と声を出してから、
「重要証拠ってか、マジかよっ」
僕も同調した。
三人で元いた場所に戻ってくると、全員レジャーシートに座って、まあ女子の会話って感じでいっぱい喋っていた。早坂先生は心なしかうんざりしているような面持ちをしていた。
王茶先生だけ自分のミニトマトを一人でもぐもぐ食べている。王茶先生って水分が多い食べ物が好きなのかな。
虎太郎お兄ちゃんはイスとテーブルのほうに座ったので、僕も神楽さんもそちらに座った。
僕と神楽さんが座ったことを確認すると、虎太郎お兄ちゃんはすぐに立って、
「ここからは正直に答えてほしいです!」
とデカい声を出して、女子たちの会話を止めた。
早坂先生は即座に、
「何か分かったのかい!」
と言って、虎太郎お兄ちゃんのほうに顔を向けた。
小百合さんは目を見開き、驚いているようで、鯖井さんは何だかちょっと会話の邪魔されたことに憤っているようで、御嬢さんは何故か俯いた。
王茶先生は嬉しそうにバンザイして、ちょっと抑えた声で「おちゃまー」と言った。神楽さんはうんうんと頷いている。
虎太郎お兄ちゃんは言う。
「この中に、あの関田さんが被害に遭ったスポットへ、被害者である関田さんに呼び出された人がいますよね」
すると神楽さんが目を皿にしながら、
「マジかよ! 関田が呼び出されたと思ったら、関田が呼び出していたのかよ!」
虎太郎お兄ちゃんは「はい」と言ってから、
「多分関田さんはそこが監視カメラの無いスポットだと知った上で、誰かを呼び出していたのです。関田さんは呼び出したほうだから後ろを向いているんです。きっと奇襲をかけるために、自分の状態を伺わせないように」
小百合さんがいぶかしげに、
「奇襲ってー……何ー……?」
虎太郎お兄ちゃんは少し言いづらそうに、
「もしかしたら、セクハラまがいの行為をしてやろうと思っていたのかもしれませんね」
「そんなわけー! ないー!」
とデカい声をあげたのは小百合さんだった。すぐに口をつぐんだわけだけども、神楽さんが少し追い詰めるように、
「は? どゆこと? 小百合なんか知ってんの? 知っててずっと黙っていたわけ? マジかよ!」
小百合さんはうなだれるように俯いた。
すると鯖井さんがデカい声で、
「小百合! もしかすると犯人知ってるのっ? 小百合は探偵なんでしょ! 言いなよ!」
小百合さんは「あー!」と声を荒らげると、
「言えるはずないじゃーん! そういうことなんだからー! 言ったら小百合が悪者になっちゃうー!」
すると神楽さんが指差しながら、
「早坂だな! 早坂が犯人だから小百合がかばったんだな!」
と早坂先生を指差した。
すると早坂先生は急に俯いたと思ったら、
「もうダメですね……そうです、ぼくが犯人です……」
と、なんと自白したのだ!
すぐに早坂先生が、
「ぼくと関田くんが口論になっているところを目撃したんですよね」
と言うと、鯖井さんが小百合さんの両肩を掴みながら、
「嘘でしょ! 嘘だって言ってよ! 小百合違うでしょ!」
小百合さんはデジタルカメラを近くにいた王茶先生に差し出しながら、
「ここにー、口論になってつかみ合いになっているー、映像がありますー……」
と言い、王茶先生がそのデジタルカメラを受け取り、中を見始めて、ついに、
「おちゃまー! これだわ!」
と言って立ち上がり、テーブルのほうへ来て、王茶先生は虎太郎お兄ちゃんと僕に見せるように、そのシーンを再生した。
神楽さんも後ろで見ていたようで、
「早坂! 関田を刺すなんて!」
「していませんよね」
と、まるで神楽さんの言葉と合わせるように、虎太郎お兄ちゃんがそう言った。
そう言われた神楽さんは「マジかよ!」と声をあげて、天を仰いだ。
虎太郎お兄ちゃんは言う。
「早坂先生、生徒をかばっていますね。まずそのかばっている生徒から『関田に呼び出されたから代わりに行ってほしい』と言われて行って、そこで関田さんを止めようとしたんですよね」
鯖井さんが甲高い声で、
「嘘! 嘘っすよね! 早坂先生がかばうなんてそれこそ好きってことっすよね! 両想いっすか!」
早坂先生はすぐさま、
「両想いのはずがない! 好きなはずがない!」
と声をあげたわけだけども、虎太郎お兄ちゃんが即座に、
「その言いっぷりですと、誰か、何らかの人物が一人いたということは確定ですね」
早坂先生は失態があったような面持ちをした。