最弱探偵
【20 鋭利な刃物(8)】
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・【20 鋭利な刃物(8)】
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虎太郎お兄ちゃんは御嬢さんを見ながら、
「何で、水筒が、子供が使うような水筒を使っているんですか」
御嬢さんは明らかに動揺しているような声で、
「ひゃ! それはぁ? そういう気分でぇっ?」
「本当はもっと高級な、保温性に優れた水筒を持っていたんじゃないんですか? 勿論、水筒忘れたと言ってコンビニでペットボトルを持ってくる選択肢もあったでしょう。でも水筒を持っていないことを粒立てられることも嫌だと思い、そういう決断をしたんでしょうね」
神楽さんが後ろで「マジかよ!」と叫んだ。水筒の話が出てきたからだ。
虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「御嬢さんは家がお金持ちらしいですね、家がお金持ちだと水筒なんて持ち歩かなくても飲み物なんていくらでも手に入りますよね。だから家族も水筒を持っていなくて、学校用に用意した水筒しかなかったわけですね。それ以外は子供の頃に使っていた水筒しか無かったんですよね」
そう言いながらリュックサックからあの保温性に優れた水筒を取り出して、
「この水筒、御嬢さんのモノですよね?」
お嬢さんはたいしてそちらを見ずに、
「知らない! というか早坂先生が自白したじゃん? 早坂先生が犯人じゃないの?」
すると鯖井さんが悲鳴に似たような声で、
「早坂先生! 何で御嬢をかばうんっすか! やっぱり愛っすか!」
早坂先生は心苦しそうに、
「ぼくが犯人だ……」
と呟いたんだけども、虎太郎お兄ちゃんは、
「早坂先生は刺す道具を持っていません。きっと咄嗟に助けてほしいと言われたのでしょう、そんな準備も無いです」
御嬢さんはハッと笑ってから、
「いやわたくしにも道具が無いですわぁっ?」
と、やたら早口でそう言うと、虎太郎お兄ちゃんがこう言った。
「言うなればミニトマトです。中にはゼリー状の何かがあったんです」
王茶先生がデカい声で「おちゃまー!」と叫んだ。
虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「この保温性の優れた水筒の中に、ゼリー状である保冷剤の中身をナイフの形で固めて入れておいたんです。そのナイフの形にした保冷剤はラップのようなモノで包んで形が保つようにしていてもいいでしょう。保温性に優れた水筒は、夏の日でも一日中氷が溶けていないという状況を作り出せますからね。刺したナイフの形をした保冷剤はすぐに小川へ捨ててしまえば流れるでしょう」
御嬢さんは黙ってしまった。
すると鯖井さんが、
「何で御嬢のことかばうんっすか、早坂先生どういうことっすか?」
それに対しても虎太郎お兄ちゃんが先に声を出した。
「御嬢さんの家族は、この私立高校に出資をしているんじゃないんですか? 出資者の娘さんを犯人にするわけにはいかない、と」
小百合さんは口をあんぐりとさせた。
早坂先生は急に高笑いをあげたと思ったら、
「校長もアホだよね! わざわざ探偵なんて雇ってさ! 御嬢が犯人じゃないことを知りたかったって! 御嬢が犯人なのにさ! 進言したよ! ぼくは! きっと御嬢が犯人だって! でも校長は御嬢がナイフなんて持っていなかったって言い張って! だから御嬢が犯人じゃないことを知りたいってさ! 二回言っちゃった! 容疑者のままでいることも御嬢家に関わるからって! でもトリックがあったってことじゃんか! あーあ! かばって意味ねぇ! おもんねぇ!」
すると御嬢さんがこう叫んだ。
「証拠が無い! その水筒がわたくしのだって証拠が無い! たまたまわたくしは小学生時代の水筒を今日持ってきただけですわぁっ?」
虎太郎お兄ちゃんはうんと強く頷いて、
「そうですね、でも早坂先生は御嬢さんに助けを求められて先に関田さんと会っていた、と言ったようなもので、皆様は当然同じ水筒を持ってきていますよね?」
御嬢さんは立ち上がって、
「じゃあ別の班の人間が通り魔的に関田をやったんですわぁっ? その水筒のトリックでねぇっ?」
虎太郎お兄ちゃんは冷静に、
「その通り魔は関田さんが後ろを向いてそこで座っていると知っていたのですかね」
「通り魔なんですから誰でもいいからチャンスがあれば刺したかったんですわぁっ? 元々保冷剤のナイフをずっと所持していてぇ?」
「じゃあ関田さんは誰も呼び出していないのに、近くに誰かが来ても振り返らなかったんですね、それっておかしな話ですね。誰が近付いて来ているか推測出来たから、表情を隠して一気に奇襲しようと考えていたんじゃないんですか?」
「通り魔は気配を消すのが上手なんじゃないんですかぁっ?」
虎太郎お兄ちゃんは冷たくこう言い放った。
「じゃあ今日もかばわれればいいんじゃないんですか、どうせここの校長先生も公にはしないでしょう。この場にいる人間へ、関田さんと同じように口止め料を払って終わりでしょう」
・【20 鋭利な刃物(8)】
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虎太郎お兄ちゃんは御嬢さんを見ながら、
「何で、水筒が、子供が使うような水筒を使っているんですか」
御嬢さんは明らかに動揺しているような声で、
「ひゃ! それはぁ? そういう気分でぇっ?」
「本当はもっと高級な、保温性に優れた水筒を持っていたんじゃないんですか? 勿論、水筒忘れたと言ってコンビニでペットボトルを持ってくる選択肢もあったでしょう。でも水筒を持っていないことを粒立てられることも嫌だと思い、そういう決断をしたんでしょうね」
神楽さんが後ろで「マジかよ!」と叫んだ。水筒の話が出てきたからだ。
虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「御嬢さんは家がお金持ちらしいですね、家がお金持ちだと水筒なんて持ち歩かなくても飲み物なんていくらでも手に入りますよね。だから家族も水筒を持っていなくて、学校用に用意した水筒しかなかったわけですね。それ以外は子供の頃に使っていた水筒しか無かったんですよね」
そう言いながらリュックサックからあの保温性に優れた水筒を取り出して、
「この水筒、御嬢さんのモノですよね?」
お嬢さんはたいしてそちらを見ずに、
「知らない! というか早坂先生が自白したじゃん? 早坂先生が犯人じゃないの?」
すると鯖井さんが悲鳴に似たような声で、
「早坂先生! 何で御嬢をかばうんっすか! やっぱり愛っすか!」
早坂先生は心苦しそうに、
「ぼくが犯人だ……」
と呟いたんだけども、虎太郎お兄ちゃんは、
「早坂先生は刺す道具を持っていません。きっと咄嗟に助けてほしいと言われたのでしょう、そんな準備も無いです」
御嬢さんはハッと笑ってから、
「いやわたくしにも道具が無いですわぁっ?」
と、やたら早口でそう言うと、虎太郎お兄ちゃんがこう言った。
「言うなればミニトマトです。中にはゼリー状の何かがあったんです」
王茶先生がデカい声で「おちゃまー!」と叫んだ。
虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「この保温性の優れた水筒の中に、ゼリー状である保冷剤の中身をナイフの形で固めて入れておいたんです。そのナイフの形にした保冷剤はラップのようなモノで包んで形が保つようにしていてもいいでしょう。保温性に優れた水筒は、夏の日でも一日中氷が溶けていないという状況を作り出せますからね。刺したナイフの形をした保冷剤はすぐに小川へ捨ててしまえば流れるでしょう」
御嬢さんは黙ってしまった。
すると鯖井さんが、
「何で御嬢のことかばうんっすか、早坂先生どういうことっすか?」
それに対しても虎太郎お兄ちゃんが先に声を出した。
「御嬢さんの家族は、この私立高校に出資をしているんじゃないんですか? 出資者の娘さんを犯人にするわけにはいかない、と」
小百合さんは口をあんぐりとさせた。
早坂先生は急に高笑いをあげたと思ったら、
「校長もアホだよね! わざわざ探偵なんて雇ってさ! 御嬢が犯人じゃないことを知りたかったって! 御嬢が犯人なのにさ! 進言したよ! ぼくは! きっと御嬢が犯人だって! でも校長は御嬢がナイフなんて持っていなかったって言い張って! だから御嬢が犯人じゃないことを知りたいってさ! 二回言っちゃった! 容疑者のままでいることも御嬢家に関わるからって! でもトリックがあったってことじゃんか! あーあ! かばって意味ねぇ! おもんねぇ!」
すると御嬢さんがこう叫んだ。
「証拠が無い! その水筒がわたくしのだって証拠が無い! たまたまわたくしは小学生時代の水筒を今日持ってきただけですわぁっ?」
虎太郎お兄ちゃんはうんと強く頷いて、
「そうですね、でも早坂先生は御嬢さんに助けを求められて先に関田さんと会っていた、と言ったようなもので、皆様は当然同じ水筒を持ってきていますよね?」
御嬢さんは立ち上がって、
「じゃあ別の班の人間が通り魔的に関田をやったんですわぁっ? その水筒のトリックでねぇっ?」
虎太郎お兄ちゃんは冷静に、
「その通り魔は関田さんが後ろを向いてそこで座っていると知っていたのですかね」
「通り魔なんですから誰でもいいからチャンスがあれば刺したかったんですわぁっ? 元々保冷剤のナイフをずっと所持していてぇ?」
「じゃあ関田さんは誰も呼び出していないのに、近くに誰かが来ても振り返らなかったんですね、それっておかしな話ですね。誰が近付いて来ているか推測出来たから、表情を隠して一気に奇襲しようと考えていたんじゃないんですか?」
「通り魔は気配を消すのが上手なんじゃないんですかぁっ?」
虎太郎お兄ちゃんは冷たくこう言い放った。
「じゃあ今日もかばわれればいいんじゃないんですか、どうせここの校長先生も公にはしないでしょう。この場にいる人間へ、関田さんと同じように口止め料を払って終わりでしょう」