最弱探偵
【03 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(3)】
・
・【03 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(3)】
・
集団登校している低学年の生徒が気安く虎太郎お兄ちゃんに話し掛けて嫉妬してしまうこともある。
でも虎太郎お兄ちゃんはいつもにこやかに、
「あれはヒメジオン、こっちはハルジオン、似ている白い花だけども違う品種なんだよ」
とか、
「むやみに歩いている最中に花びらをちぎっちゃダメだよ。お花が可哀想だし、結構な確率で毒のある毛虫がお花についていることがあるから、刺されちゃうことがあるよ」
博学な虎太郎お兄ちゃんに、僕は感心の眼差しを向けてしまう。
でも最後に、低学年の子から「すっごい頭良い! お兄ちゃんすごい!」と言われると、虎太郎お兄ちゃんは少し物憂いげに、
「最弱だから分かることがあるんです……」
と答えるところだけはちょっとだけムッとしてしまう。まあ低学年の子たちにはウケているからいいけども。ギャグだと思われているからいいけども。
朝、教室に着くと、ものすごい騒音が鳴り響いていた。
なんと、クラスの女子の一人がわんわん泣いていて、男子たちが冷やかすように指差して笑っていたのだ。
僕は即座に、
「どうしたの!」
と声をあげると、そのうちの男子の一人が、
「アイツが汚いウンコもらしたー」
と言って、泣いている女子を改めて指差した。
でも別にクサくないし、本当にウンコをもらしたなら保健室にいるはず。僕は泣いている女子に近付くと、男子たちが、
「汚いネバネバがうつるぞー!」
とか言って、ウンコのこと汚いネバネバと表現するヤツ、あんまいないでしょ、と思いつつも僕は、
「どうしたの? 何があったの?」
近くにいた別の女子が、
「何か、この子のお尻に何かネバネバしたのがついちゃって……それがその、橙色の、その、それじゃないとは思うんだけども、何か、ネバネバの……」
橙色ならなおさらウンコじゃないのに、と思いながら、その子のイスを見ると、何か橙色のネバネバしたモノが大量についていた。
これは……全然ウンコではないじゃないか、さすがにウンコの解像度低過ぎるでしょ、こんだけ大量にあれば絶対クサいはずだし。
僕は急いで職員室へ行って、担任の青田先生以外にも、王茶先生や東村先生にも来てもらい、そのイスを見てもらうと、青田先生は、
「何だぁ……こりゃぁ……」
と絶句して、王茶先生は、
「おちゃまー! エイリアンよー!」
とあわあわし始めて、東村先生はじっくり観察しながら、
「かたつむりの……フン……?」
と言った。何でかたつむりのフンが突然大量にイスにつくんだ、そんなはずはない。
とりあえず泣いていた女子は泣き止み、その女子の友達が一旦保健室へ連れていくことになったんだけども、男子たちは小声でずっと、
「アイツ昔から嫌いだったから、ちょうどいい」
「嫌味だもんな」
「勉強出来るからってうるせぇもん」
「天罰だよ、これは」
「分かる、これはホント魚屋の勘だけども」
「肉屋の勘としても、そう」
と言っていて、何だか嫌な感じだ。保健室に連れて行かなかった女子たちは女子たちで「ウンコかもね」とか言っていて、かなり嫌だ。絶対ウンコじゃないでしょ。本当にウンコの解像度、どうなってんだ。ちょっと女子、ヤバいよ、ウンコの解像度。
その時だった。
王茶先生が急にこんなことを言い出した。
「中学校から虎太郎くんを呼び出すべきだわっ!」
虎太郎くんって虎太郎お兄ちゃんのこと……? と思ったのと同時に、青田先生が、
「そうだ! 虎太郎くんなら絶対解決出来るはず!」
東村先生も同調するように相槌を打った。
え、というか、
「虎太郎お兄ちゃんの、ことですか?」
すると青田先生が、
「そうだ! 龍は虎太郎くんの弟じゃないか! 連絡通路から中学校へ行って、虎太郎くんを連れてきてくれ!」
僕は小首を傾げながら、
「何で虎太郎お兄ちゃんを連れてくるんですか?」
すると王茶先生が何故か自慢げに、
「虎太郎くんはこの小学校で起きていた事件を去年まで秘密裏に全て解決していてくれたのよー! 最高ー!」
いつもクールな東村先生も「最高だったわね」と同意した。
まさか虎太郎お兄ちゃんにそんな一面があったなんて……家で全部話してくれればいいのに!
僕は何だか得意げな気持ちで中学校へ。同時に連絡通路といういつもは誰も通っちゃいけないところを通れる高揚感もある。
確か虎太郎お兄ちゃんは一年一組なはず。連絡通路を通って、中学校に着き、一年一組の教室を探し始めた。王茶先生いわく、連絡通路の先の十字路を右ですぐと教えてくれたので、すぐに着いた。
ひょこっと顔を出して、教室内を見渡したわけだけども、どうやら虎太郎お兄ちゃんはいなさそう。というか何か全体的に人が少ないような。
・【03 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(3)】
・
集団登校している低学年の生徒が気安く虎太郎お兄ちゃんに話し掛けて嫉妬してしまうこともある。
でも虎太郎お兄ちゃんはいつもにこやかに、
「あれはヒメジオン、こっちはハルジオン、似ている白い花だけども違う品種なんだよ」
とか、
「むやみに歩いている最中に花びらをちぎっちゃダメだよ。お花が可哀想だし、結構な確率で毒のある毛虫がお花についていることがあるから、刺されちゃうことがあるよ」
博学な虎太郎お兄ちゃんに、僕は感心の眼差しを向けてしまう。
でも最後に、低学年の子から「すっごい頭良い! お兄ちゃんすごい!」と言われると、虎太郎お兄ちゃんは少し物憂いげに、
「最弱だから分かることがあるんです……」
と答えるところだけはちょっとだけムッとしてしまう。まあ低学年の子たちにはウケているからいいけども。ギャグだと思われているからいいけども。
朝、教室に着くと、ものすごい騒音が鳴り響いていた。
なんと、クラスの女子の一人がわんわん泣いていて、男子たちが冷やかすように指差して笑っていたのだ。
僕は即座に、
「どうしたの!」
と声をあげると、そのうちの男子の一人が、
「アイツが汚いウンコもらしたー」
と言って、泣いている女子を改めて指差した。
でも別にクサくないし、本当にウンコをもらしたなら保健室にいるはず。僕は泣いている女子に近付くと、男子たちが、
「汚いネバネバがうつるぞー!」
とか言って、ウンコのこと汚いネバネバと表現するヤツ、あんまいないでしょ、と思いつつも僕は、
「どうしたの? 何があったの?」
近くにいた別の女子が、
「何か、この子のお尻に何かネバネバしたのがついちゃって……それがその、橙色の、その、それじゃないとは思うんだけども、何か、ネバネバの……」
橙色ならなおさらウンコじゃないのに、と思いながら、その子のイスを見ると、何か橙色のネバネバしたモノが大量についていた。
これは……全然ウンコではないじゃないか、さすがにウンコの解像度低過ぎるでしょ、こんだけ大量にあれば絶対クサいはずだし。
僕は急いで職員室へ行って、担任の青田先生以外にも、王茶先生や東村先生にも来てもらい、そのイスを見てもらうと、青田先生は、
「何だぁ……こりゃぁ……」
と絶句して、王茶先生は、
「おちゃまー! エイリアンよー!」
とあわあわし始めて、東村先生はじっくり観察しながら、
「かたつむりの……フン……?」
と言った。何でかたつむりのフンが突然大量にイスにつくんだ、そんなはずはない。
とりあえず泣いていた女子は泣き止み、その女子の友達が一旦保健室へ連れていくことになったんだけども、男子たちは小声でずっと、
「アイツ昔から嫌いだったから、ちょうどいい」
「嫌味だもんな」
「勉強出来るからってうるせぇもん」
「天罰だよ、これは」
「分かる、これはホント魚屋の勘だけども」
「肉屋の勘としても、そう」
と言っていて、何だか嫌な感じだ。保健室に連れて行かなかった女子たちは女子たちで「ウンコかもね」とか言っていて、かなり嫌だ。絶対ウンコじゃないでしょ。本当にウンコの解像度、どうなってんだ。ちょっと女子、ヤバいよ、ウンコの解像度。
その時だった。
王茶先生が急にこんなことを言い出した。
「中学校から虎太郎くんを呼び出すべきだわっ!」
虎太郎くんって虎太郎お兄ちゃんのこと……? と思ったのと同時に、青田先生が、
「そうだ! 虎太郎くんなら絶対解決出来るはず!」
東村先生も同調するように相槌を打った。
え、というか、
「虎太郎お兄ちゃんの、ことですか?」
すると青田先生が、
「そうだ! 龍は虎太郎くんの弟じゃないか! 連絡通路から中学校へ行って、虎太郎くんを連れてきてくれ!」
僕は小首を傾げながら、
「何で虎太郎お兄ちゃんを連れてくるんですか?」
すると王茶先生が何故か自慢げに、
「虎太郎くんはこの小学校で起きていた事件を去年まで秘密裏に全て解決していてくれたのよー! 最高ー!」
いつもクールな東村先生も「最高だったわね」と同意した。
まさか虎太郎お兄ちゃんにそんな一面があったなんて……家で全部話してくれればいいのに!
僕は何だか得意げな気持ちで中学校へ。同時に連絡通路といういつもは誰も通っちゃいけないところを通れる高揚感もある。
確か虎太郎お兄ちゃんは一年一組なはず。連絡通路を通って、中学校に着き、一年一組の教室を探し始めた。王茶先生いわく、連絡通路の先の十字路を右ですぐと教えてくれたので、すぐに着いた。
ひょこっと顔を出して、教室内を見渡したわけだけども、どうやら虎太郎お兄ちゃんはいなさそう。というか何か全体的に人が少ないような。