最弱探偵
【04 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(4)】
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・【04 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(4)】
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すると、一人の男子生徒がこちらに近付いてきて、
「あんま見ない顔だな、転校生か? それとも教育実習の先生とか?」
どうやら僕の体格の良さから、小学生ではなくて中学生はたまた大学生に見えているらしい。
僕は突然のことで、慌ててしまうと、別の女子生徒が近付いてきて、
「つか、虎太郎様に似てない?」
と何か普通に”様”付けしていて、え、え? と思ってしまう。男子生徒のほうが、
「コタローに似てるね、コタローのお兄さんとか? お兄さんいたんだ、コタローが忘れ物したんですか?」
僕は何だか自分でも思っていないほどの小さな声で、
「弟です……」
と言ってしまうと、女子生徒のほうが、
「デッカ!」
と声を荒らげてから、
「つか! 虎太郎様の弟めっちゃ可愛いし! え! 兄弟揃ってイケメンとか神過ぎる!」
男子生徒は呆れながら、
「こらルッキズム、何か用があってきたんだろう。コタローは視聴覚室で勉強部に勉強教えてるから、俺についてきなっ」
と言ったところで、女子生徒のほうが僕の手を握ってきて、
「ダメ! あたしが連れていくから! 今のうちに仲良くなっておかないとダメだから!」
男子生徒は溜息交じりに、
「全部言うなよ」
と言いながらバイバイしてくれた。
僕は女子生徒のお姉さんにドギマギしながら、手を繋いで視聴覚室とやらに連れてってもらえることになった。
その女子生徒のお姉さんからは虎太郎お兄ちゃんの家でのことをいっぱい聞かれたので、全部答えると、女子生徒のお姉さんはキッと目を鋭くして、
「最悪! あたしが虎太郎様の両親ならそんなことしない! というか虎太郎様は全知全能のイケメン神なんだから!」
と切り返されてからはずっと虎太郎お兄ちゃんを褒め称えることを早口で言ってきた。
「虎太郎様は勉強が出来て人格者で、イケメンで、上級生にも勉強を教えられるくらいに賢くて、なのに誰からも嫉妬されず、いやバカ過ぎる男子からはさすがに嫉妬されているかな? でもまあ女子はもうみんな大好きで、運動神経も普通くらいあってカッコイイし、賢いから球技が最高に巧いし、それなのに時折”最弱なんで”みたいなことを言ってその自己肯定感の低さは守ってあげたくなるし、虎太郎様の手作りお弁当はいつも争奪戦だし、え? でも手作りってそういうことだったの? いや両親無いわぁ、でも美味しいし、これはもう必要悪だよね、しょうがなし、いやでも中卒で農業? いや農業は日本の基礎だけども、適材適所ってあるでしょ、虎太郎様は腕力だけは無いから野球のピッチャーは出来ないけども、でもサッカーのリトリート、戦術的守備は本当にすごくてねぇ、カッコ良過ぎて、結婚したぁぁハイ! ここ視聴覚室ぅ!」
結婚したいなのか、結婚したのか分からず、ちょっとあわあわしつつも、虎太郎お兄ちゃんって中学校では奉られているということを知り、何だかほっこりした。そうだよね、虎太郎お兄ちゃんの良さってみんなに伝わるものだよね。両親だけ灯台下暗しで分からないだけなんだよね。これだけ好かれて当然だよね。
女子生徒のお姉さんが、
「虎太郎様の弟さんが来たよー!」
と声をあげると、みんな一斉に振り返って、
「ヤだ、似ててイケメン……」
「兄弟揃って尊い……」
「お、どしたどした、これは事件か?」
「何か知らんけどコタロー、すぐに解決したれ」
と男女共々好意的な声で、この女子生徒のお姉さんだけ取り立ててこう、というわけでもないんだと、ホッとした。
教壇に立っていた虎太郎お兄ちゃんが、
「どうしたんだ、龍。本来小学生は中学校に来ちゃいけないんだよ、ってそんなことは知っているか」
「ちょっと小学校で事件が起きちゃって、青田先生や王茶先生、東村先生が事件の時は虎太郎くんだって言われて」
「なるほど。では行きましょうか。すみません、勉強部の朝練はここまで、です」
と一礼してから、僕のほうへ颯爽と来ると、周りの生徒たちが箱根駅伝の沿道のように、
「行ってこーい!」
「がんばれー!」
「コタローなら楽勝だろ!」
「虎太郎様、頼られている……」
と口々に言って、何かすごかった。
一緒に小学校へ行き、僕の教室に着くと、クラスには青田先生と王茶先生しかいなかった。
ふと、窓の外を見ると、僕のクラスメイトたちは全員グラウンドに出て、何か遊んでいるようだった。
・【04 天音龍(あまね・りゅう)と天音虎太郎(あまね・こたろう)(4)】
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すると、一人の男子生徒がこちらに近付いてきて、
「あんま見ない顔だな、転校生か? それとも教育実習の先生とか?」
どうやら僕の体格の良さから、小学生ではなくて中学生はたまた大学生に見えているらしい。
僕は突然のことで、慌ててしまうと、別の女子生徒が近付いてきて、
「つか、虎太郎様に似てない?」
と何か普通に”様”付けしていて、え、え? と思ってしまう。男子生徒のほうが、
「コタローに似てるね、コタローのお兄さんとか? お兄さんいたんだ、コタローが忘れ物したんですか?」
僕は何だか自分でも思っていないほどの小さな声で、
「弟です……」
と言ってしまうと、女子生徒のほうが、
「デッカ!」
と声を荒らげてから、
「つか! 虎太郎様の弟めっちゃ可愛いし! え! 兄弟揃ってイケメンとか神過ぎる!」
男子生徒は呆れながら、
「こらルッキズム、何か用があってきたんだろう。コタローは視聴覚室で勉強部に勉強教えてるから、俺についてきなっ」
と言ったところで、女子生徒のほうが僕の手を握ってきて、
「ダメ! あたしが連れていくから! 今のうちに仲良くなっておかないとダメだから!」
男子生徒は溜息交じりに、
「全部言うなよ」
と言いながらバイバイしてくれた。
僕は女子生徒のお姉さんにドギマギしながら、手を繋いで視聴覚室とやらに連れてってもらえることになった。
その女子生徒のお姉さんからは虎太郎お兄ちゃんの家でのことをいっぱい聞かれたので、全部答えると、女子生徒のお姉さんはキッと目を鋭くして、
「最悪! あたしが虎太郎様の両親ならそんなことしない! というか虎太郎様は全知全能のイケメン神なんだから!」
と切り返されてからはずっと虎太郎お兄ちゃんを褒め称えることを早口で言ってきた。
「虎太郎様は勉強が出来て人格者で、イケメンで、上級生にも勉強を教えられるくらいに賢くて、なのに誰からも嫉妬されず、いやバカ過ぎる男子からはさすがに嫉妬されているかな? でもまあ女子はもうみんな大好きで、運動神経も普通くらいあってカッコイイし、賢いから球技が最高に巧いし、それなのに時折”最弱なんで”みたいなことを言ってその自己肯定感の低さは守ってあげたくなるし、虎太郎様の手作りお弁当はいつも争奪戦だし、え? でも手作りってそういうことだったの? いや両親無いわぁ、でも美味しいし、これはもう必要悪だよね、しょうがなし、いやでも中卒で農業? いや農業は日本の基礎だけども、適材適所ってあるでしょ、虎太郎様は腕力だけは無いから野球のピッチャーは出来ないけども、でもサッカーのリトリート、戦術的守備は本当にすごくてねぇ、カッコ良過ぎて、結婚したぁぁハイ! ここ視聴覚室ぅ!」
結婚したいなのか、結婚したのか分からず、ちょっとあわあわしつつも、虎太郎お兄ちゃんって中学校では奉られているということを知り、何だかほっこりした。そうだよね、虎太郎お兄ちゃんの良さってみんなに伝わるものだよね。両親だけ灯台下暗しで分からないだけなんだよね。これだけ好かれて当然だよね。
女子生徒のお姉さんが、
「虎太郎様の弟さんが来たよー!」
と声をあげると、みんな一斉に振り返って、
「ヤだ、似ててイケメン……」
「兄弟揃って尊い……」
「お、どしたどした、これは事件か?」
「何か知らんけどコタロー、すぐに解決したれ」
と男女共々好意的な声で、この女子生徒のお姉さんだけ取り立ててこう、というわけでもないんだと、ホッとした。
教壇に立っていた虎太郎お兄ちゃんが、
「どうしたんだ、龍。本来小学生は中学校に来ちゃいけないんだよ、ってそんなことは知っているか」
「ちょっと小学校で事件が起きちゃって、青田先生や王茶先生、東村先生が事件の時は虎太郎くんだって言われて」
「なるほど。では行きましょうか。すみません、勉強部の朝練はここまで、です」
と一礼してから、僕のほうへ颯爽と来ると、周りの生徒たちが箱根駅伝の沿道のように、
「行ってこーい!」
「がんばれー!」
「コタローなら楽勝だろ!」
「虎太郎様、頼られている……」
と口々に言って、何かすごかった。
一緒に小学校へ行き、僕の教室に着くと、クラスには青田先生と王茶先生しかいなかった。
ふと、窓の外を見ると、僕のクラスメイトたちは全員グラウンドに出て、何か遊んでいるようだった。