最弱探偵
【07 一時的な記憶喪失により(2)】
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・【07 一時的な記憶喪失により(2)】
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職員室で事前に聞いていた事件の内容を聞いたわけだけども、その場にずっと一人の男子生徒がいて、この人が被害者かなと思っていると、その男子生徒が最後に声を出した。
「で、ワシがこの事件を解決する学園探偵、ノッチなんよ」
何か空間が固まった。王茶先生は目を見開き、虎太郎お兄ちゃんも驚いているような表情。説明してくださった先生の口元は引きつっている。
構わずって感じで、ノッチを名乗る男子生徒は続ける。
「別にワシが解決するからいいんよ、こんな訳分からん放課後珍道中なんて本来呼ばなくていいんよ」
放課後珍道中……そう言われればそうかもしれないけども、ちょっと失礼じゃないか? と思っていると、王茶先生が声を出した。
「おちゃまー! チームおうちゃまよー!」
その言い方はこっちもしっくりきていないんだけどもな。王茶先生は続ける。
「こっちは正式に探偵として依頼を受けたのよー!」
ノッチさんは呆れるように、
「だ・か・ら、それはワシがやるんよ。視聴覚室のキーボードにお茶こぼしたの誰なんよ事件の犯人を突き止めたワシがやるんよ。まっ、便座上、一応ライバルということにしといてやるんよ、よろ」
何か言い方ムカつくし、明らかに便宜上を便座上って発音したし、小学生の僕よりバカなのはいかがなものなのだろうか。
何よりもずっとそっち側の先生の面持ちが引きつっているというか、何か、ハッキリ言えば邪魔だなぁ、みたいな顔をしてらっしゃる。じゃあシンプルに邪魔なヤツなのか?
僕は誰も聞かなそうなので、聞くことにした。
「で、ノッチさんは被害者なんですか?」
ノッチさんはすぐに、
「ワシはあんなボンクラガキ大将とは違うんよ」
どうやら違うし、被害者のことを若干バカにしているっぽい。
試しに、
「じゃあ加害者ですか?」
「そうそうそう、後ろからカンチョーを、っておぉぉおおい! 違うに決まってるんよ!」
初見でノリツッコミされると本当にそうなのかなと思っている時間が発生するなぁ。
まあいいや、
「じゃあ全くの無関係なんですか」
「そんなはずないやろ! 同じクラスメイトじゃ! だからクラスのことはよく分かっとんじゃ!」
それは分かんないでしょ、同じクラスメイトの情報は初出でしょうに。
でも同じクラスメイトということは、
「目星はついているんですか?」
「誰が話すかい!」
「いや協力して犯人見つけましょうよ」
「ライバル探偵に塩送るヤツがいるかぁい!」
何かボケ・ツッコミのツッコミのテンションで言うけども、なんせ初対面なので、何が本当で何が嘘なのか分からない。
すると説明してくださっていた先生が、
「わたくしがそのクラスの担任なので、生徒たちの情報が知りたい場合はわたくしに聞いてください」
と言ってくださったので、王茶先生はうんと頷き、
「じゃあ別室に移動して聞きまくるのよー!」
と言いながら、何かバンザイした。
僕はそれに対して、
「ここでいいんじゃないんですか?」
すると王茶先生は首をブンブン横に振って、
「ライバル探偵に聞かれると困るのよー!」
と憤るように言って、そう言われたノッチさんは鼻で笑って、
「ポッと出に何が出来るんじゃ。菜園のジャガイモの土寄せでもしてろぉい」
と吐き捨ててから、職員室から出て行った。
じゃあ別室に行かなくていいなと思っていると、王茶先生も職員室から出て行こうとしたので、僕は意味無く慌ててしまい、
「ちょ! 王茶先生! あの生徒がいなくなったんで職員室でいいえす!」
と軽く噛みながら言ってしまうと、王茶先生はいっけねみたいな顔をしてから、
「おちゃまー! そねー!」
と、やたらデカい声で言って、さすがに放課後珍道中過ぎると思ってしまった。
ずっと説明してくださっていた先生は申し訳無さそうに一礼しながら、
「すみません、さっきノッチと名乗っていた野田は本当にアホなヤツで、あの自分が解決したといったお茶こぼすなんちゃらも犯人は野田自身で、探偵業をやるために自作自演をしたとか意味分かんないこと言っていて。そのくせ地獄耳だから、耳が良過ぎるから、チームおうちゃまが今日来ることを聞きつけて」
経緯が意味分かんなさ過ぎる。まあこっからは完全に僕たちだけのターンだ、となったところで虎太郎お兄ちゃんが、
「まず先生は犯人の目星がついていますか?」
と挙手しながら質問をした。
すると先生はう~んと唸りながら、
「教職者が言うことじゃないんですけども、被害者の、そのガキ大将的存在の村井は本当に全員から嫌われていて。動機という意味では男子女子全員にあると思います」
そんなヤツ、教職がちゃんとしなきゃダメでしょう。
虎太郎お兄ちゃんは質問を続ける。
「その、村井さんは大柄ですか? 一対一の喧嘩で勝てそうなクラスメイトはいますか?」
「一対一で勝てそうな生徒はいないです。そして大柄です。普通に大人よりもデカくて、タッパも横幅もあります。なんというか、プロレスラー体型というか」
「じゃあ重いというわけですね」
「その通りです。そんな太っているという感じじゃなくて、百キロ弱ある感じですね。直近の身体測定では」
「村井さんがいつも可愛がっているというか、いわゆるイジリをしている生徒というのは何人いますか? 常習的に、です」
先生は少し黙って俯いてしまった。言いづらそうにしているようだった。
それはその生徒に嫌疑が掛かってしまうことが嫌なのか、それとも、それを把握しているにも関わらず何もしていない自分を見られることが嫌なのか。
すると先生はこう言った。
「いやぁ、そこまではぁー……はい」
歯切れが悪過ぎると思ったその時だった。虎太郎お兄ちゃんは優しい顔でこう言った。
「すみません。配慮の無い質問でした。では、村井さんと一番仲の良い生徒は誰ですか? いつも一緒にいるような」
すると先生はハハッと掠れ笑いをあげてから、
「えっと、まあ、坂本と石谷でしょうかね、二人揃ってパソコン部なので、今、学校にいると思いますよ」
「ありがとうございます」
そう一礼してから、虎太郎お兄ちゃんは今、そのパソコン部の部室がどこかを先生に聞いている。王茶先生は耳に手を当てて、ニコニコ頷きながら聞いている。
なるほど、まずはその村井さんの友達から話を聞いていく戦法をとることにしたみたいだ。虎太郎お兄ちゃんは頭が良いなぁ。
場所を聞き終えた虎太郎お兄ちゃんが「行きましょう」と言ったので、僕たち三人は職員室から出て、三階のパソコン室へ向かった。
・【07 一時的な記憶喪失により(2)】
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職員室で事前に聞いていた事件の内容を聞いたわけだけども、その場にずっと一人の男子生徒がいて、この人が被害者かなと思っていると、その男子生徒が最後に声を出した。
「で、ワシがこの事件を解決する学園探偵、ノッチなんよ」
何か空間が固まった。王茶先生は目を見開き、虎太郎お兄ちゃんも驚いているような表情。説明してくださった先生の口元は引きつっている。
構わずって感じで、ノッチを名乗る男子生徒は続ける。
「別にワシが解決するからいいんよ、こんな訳分からん放課後珍道中なんて本来呼ばなくていいんよ」
放課後珍道中……そう言われればそうかもしれないけども、ちょっと失礼じゃないか? と思っていると、王茶先生が声を出した。
「おちゃまー! チームおうちゃまよー!」
その言い方はこっちもしっくりきていないんだけどもな。王茶先生は続ける。
「こっちは正式に探偵として依頼を受けたのよー!」
ノッチさんは呆れるように、
「だ・か・ら、それはワシがやるんよ。視聴覚室のキーボードにお茶こぼしたの誰なんよ事件の犯人を突き止めたワシがやるんよ。まっ、便座上、一応ライバルということにしといてやるんよ、よろ」
何か言い方ムカつくし、明らかに便宜上を便座上って発音したし、小学生の僕よりバカなのはいかがなものなのだろうか。
何よりもずっとそっち側の先生の面持ちが引きつっているというか、何か、ハッキリ言えば邪魔だなぁ、みたいな顔をしてらっしゃる。じゃあシンプルに邪魔なヤツなのか?
僕は誰も聞かなそうなので、聞くことにした。
「で、ノッチさんは被害者なんですか?」
ノッチさんはすぐに、
「ワシはあんなボンクラガキ大将とは違うんよ」
どうやら違うし、被害者のことを若干バカにしているっぽい。
試しに、
「じゃあ加害者ですか?」
「そうそうそう、後ろからカンチョーを、っておぉぉおおい! 違うに決まってるんよ!」
初見でノリツッコミされると本当にそうなのかなと思っている時間が発生するなぁ。
まあいいや、
「じゃあ全くの無関係なんですか」
「そんなはずないやろ! 同じクラスメイトじゃ! だからクラスのことはよく分かっとんじゃ!」
それは分かんないでしょ、同じクラスメイトの情報は初出でしょうに。
でも同じクラスメイトということは、
「目星はついているんですか?」
「誰が話すかい!」
「いや協力して犯人見つけましょうよ」
「ライバル探偵に塩送るヤツがいるかぁい!」
何かボケ・ツッコミのツッコミのテンションで言うけども、なんせ初対面なので、何が本当で何が嘘なのか分からない。
すると説明してくださっていた先生が、
「わたくしがそのクラスの担任なので、生徒たちの情報が知りたい場合はわたくしに聞いてください」
と言ってくださったので、王茶先生はうんと頷き、
「じゃあ別室に移動して聞きまくるのよー!」
と言いながら、何かバンザイした。
僕はそれに対して、
「ここでいいんじゃないんですか?」
すると王茶先生は首をブンブン横に振って、
「ライバル探偵に聞かれると困るのよー!」
と憤るように言って、そう言われたノッチさんは鼻で笑って、
「ポッと出に何が出来るんじゃ。菜園のジャガイモの土寄せでもしてろぉい」
と吐き捨ててから、職員室から出て行った。
じゃあ別室に行かなくていいなと思っていると、王茶先生も職員室から出て行こうとしたので、僕は意味無く慌ててしまい、
「ちょ! 王茶先生! あの生徒がいなくなったんで職員室でいいえす!」
と軽く噛みながら言ってしまうと、王茶先生はいっけねみたいな顔をしてから、
「おちゃまー! そねー!」
と、やたらデカい声で言って、さすがに放課後珍道中過ぎると思ってしまった。
ずっと説明してくださっていた先生は申し訳無さそうに一礼しながら、
「すみません、さっきノッチと名乗っていた野田は本当にアホなヤツで、あの自分が解決したといったお茶こぼすなんちゃらも犯人は野田自身で、探偵業をやるために自作自演をしたとか意味分かんないこと言っていて。そのくせ地獄耳だから、耳が良過ぎるから、チームおうちゃまが今日来ることを聞きつけて」
経緯が意味分かんなさ過ぎる。まあこっからは完全に僕たちだけのターンだ、となったところで虎太郎お兄ちゃんが、
「まず先生は犯人の目星がついていますか?」
と挙手しながら質問をした。
すると先生はう~んと唸りながら、
「教職者が言うことじゃないんですけども、被害者の、そのガキ大将的存在の村井は本当に全員から嫌われていて。動機という意味では男子女子全員にあると思います」
そんなヤツ、教職がちゃんとしなきゃダメでしょう。
虎太郎お兄ちゃんは質問を続ける。
「その、村井さんは大柄ですか? 一対一の喧嘩で勝てそうなクラスメイトはいますか?」
「一対一で勝てそうな生徒はいないです。そして大柄です。普通に大人よりもデカくて、タッパも横幅もあります。なんというか、プロレスラー体型というか」
「じゃあ重いというわけですね」
「その通りです。そんな太っているという感じじゃなくて、百キロ弱ある感じですね。直近の身体測定では」
「村井さんがいつも可愛がっているというか、いわゆるイジリをしている生徒というのは何人いますか? 常習的に、です」
先生は少し黙って俯いてしまった。言いづらそうにしているようだった。
それはその生徒に嫌疑が掛かってしまうことが嫌なのか、それとも、それを把握しているにも関わらず何もしていない自分を見られることが嫌なのか。
すると先生はこう言った。
「いやぁ、そこまではぁー……はい」
歯切れが悪過ぎると思ったその時だった。虎太郎お兄ちゃんは優しい顔でこう言った。
「すみません。配慮の無い質問でした。では、村井さんと一番仲の良い生徒は誰ですか? いつも一緒にいるような」
すると先生はハハッと掠れ笑いをあげてから、
「えっと、まあ、坂本と石谷でしょうかね、二人揃ってパソコン部なので、今、学校にいると思いますよ」
「ありがとうございます」
そう一礼してから、虎太郎お兄ちゃんは今、そのパソコン部の部室がどこかを先生に聞いている。王茶先生は耳に手を当てて、ニコニコ頷きながら聞いている。
なるほど、まずはその村井さんの友達から話を聞いていく戦法をとることにしたみたいだ。虎太郎お兄ちゃんは頭が良いなぁ。
場所を聞き終えた虎太郎お兄ちゃんが「行きましょう」と言ったので、僕たち三人は職員室から出て、三階のパソコン室へ向かった。