最弱探偵
【08 一時的な記憶喪失により(3)】
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・【08 一時的な記憶喪失により(3)】
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その道中でなんとなしに僕が、
「友達から聞いてまわることにしたんだねっ、村井さんのことを一番知っている人が一番の助けになるかもだもんねっ」
と言うと、虎太郎お兄ちゃんは少し複雑そうな顔をしてから、
「いやぁー……いわゆるイジリをしている相手を言いやすい状況にして聞いたんです。その筋道を立ててから、ですね」
王茶先生はビックリしながら、
「おちゃまー! どういうことー!」
と声を荒らげた。虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「まず最初にイジられている方々、つまり一番恨みがありそうな生徒を探していると問うてから”友達”とやんわりした言い方で聞くことにより、職員室にいる他の先生たちに聞かれても本当のところを答えやすくしたんです。勿論あの先生の勘が悪ければ本当の友達を紹介していますが、まあ勘が悪そうじゃなかったので多分大丈夫です。ちゃんと一番恨みのある、村井さんからイジられている生徒を言ってくれたはずです」
まさかそんな頭脳戦が繰り広げられていたなんて。虎太郎お兄ちゃんはやっぱり頭が良い。そう思った時だった。
「おちゃまー! そよー! だからアタシは別室に行って聞き取りやすくしたかったんだわー! 龍くんが止めちゃうからー!」
いや絶対そんなこと考えていなかったでしょ、と思ったけども、王茶先生は何だか満足げにそう言ってきたので、そこはもう相槌を打つだけにした。
パソコン室の前に立つと、中からあの、ノッチという生徒のデカい声が聞こえてきた。
王茶先生はノックと同時にドアを開けるという、何か嫌な人のヤツをやると、中にはメガネをかけた男子生徒二人と、ノッチさんがいた。
ノッチさんがこちらを見るなり、
「さっきのー! アサセン、ハッキリ坂本と石谷がイジメられてるって言ったんだなー!」
アサセン、は、浅田先生かな、確かさっきの先生の苗字が浅田だったはず。
というかイジメられているって、まさしくビンゴというか当たりというヤツだ。
坂本だが石谷だが分からないけども、背の高いほうが、
「そうだよ! イジメられているよ! だからイジメられている生徒が村井のこと倒せるはずねぇだろ!」
もう片方の小太りのほうが、
「やめろって坂本……部外者もいるからちょっと恥ずかしいよ……」
どうやら背の高いほうが坂本さんで、小太りのほうが石谷さんらしい。
すると虎太郎お兄ちゃんが即座に、
「村井さんは、お二人様の家にもやって来るほうですか?」
それに答えたのはノッチさんだった。
「そうなんよ! つーか全員の家を把握してやって来るよなぁ! まあワシの家は敷居が高過ぎて一度来たらもう来なくなったんじゃ!」
石谷さんのほうが小声で「ジジイが老害過ぎるせいでしょ」と言うと、ノッチさんは石谷さんのほうを睨みながら、
「それは! ワシも思とるわぁぁああああ!」
と声を荒らげた。思っているんかい。家族もちゃんと思っているパターンあるんだ。
ノッチさんはそのデカい声の勢いそのままに、
「早く自白せぇい! 村井が最後パソコン部のオマエらに会いに行くって言ってたの知っとるんよ! この地獄耳で!」
地獄耳の自称とかもあるんだ、珍しっ。
「早く自白せんかったら! ワシがまた犯人になるんじゃ! もう流れがそうなってるんよ!」
背の高いほうの坂本さんが、
「それは自業自得だろ! 意味無くデッカイ事件に仕立て上げ! でも自分が犯人で! それでぼくを犯人に仕立て上げようとして! 結局学級委員長に言葉の矛盾を突かれて自白して! 何がしたいんだ! あのパソコンのキーボードにお茶こぼした事件って!」
「おぉぉおおおおおおい! 全部言うなよ! 部外者いるんだぞ!」
何この部外者いるんだぞ再放送、本当にさっき聞いたよ。
虎太郎お兄ちゃんは周りの雰囲気に流されず、堂々と、
「それではパソコン部に村井さんは来たんですか?」
石谷さんのほうはちょっと困惑しながら、
「きっ、来てない!」
と言うと、僕たちよりも先にノッチさんが、
「いいや! パソコン部に来たんだよ! 絶対に!」
虎太郎お兄ちゃんは一呼吸置いてから、
「村井さんは道路の歩道で倒れていたという話ですが、学校の近くですか?」
ノッチさんは「なんだそりゃ!」と叫んでから、
「そんなことも知らんで口突っ込んどんのか! 学校の裏手の! あんま人通らないほうの道じゃ! 土地勘無いヤツが口を挟んでくんな!」
「分かりました」
と言うと、そのまま虎太郎お兄ちゃんは部屋から出て行こうとしたので、僕は「え」と声を漏らしてしまうと、虎太郎お兄ちゃんから、
「まずは土地勘を作るしかないですね、許可は得ているので高校の周りを見ていこうと思います。龍も王茶先生も行きましょう」
と促されたので、三人で部室から出ることにした。
虎太郎お兄ちゃんはすぐに近くの階段をおり始めて、
「まずはもう一度、浅田先生に話を聞きましょう」
と言って職員室に向かった。
すると職員室でも何か若干の言い合いみたいな声があがっていて、もしかするとノッチがワープしてきたのかなと思った。いつも通り王茶先生がノックと同時に開ける、いわゆるトントンガチャを行ない(実際は引き戸なのでトントンガラガラガラだけども)中に入ると、浅田先生が他の先生に囲まれて、あわあわしていた。
・【08 一時的な記憶喪失により(3)】
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その道中でなんとなしに僕が、
「友達から聞いてまわることにしたんだねっ、村井さんのことを一番知っている人が一番の助けになるかもだもんねっ」
と言うと、虎太郎お兄ちゃんは少し複雑そうな顔をしてから、
「いやぁー……いわゆるイジリをしている相手を言いやすい状況にして聞いたんです。その筋道を立ててから、ですね」
王茶先生はビックリしながら、
「おちゃまー! どういうことー!」
と声を荒らげた。虎太郎お兄ちゃんは続ける。
「まず最初にイジられている方々、つまり一番恨みがありそうな生徒を探していると問うてから”友達”とやんわりした言い方で聞くことにより、職員室にいる他の先生たちに聞かれても本当のところを答えやすくしたんです。勿論あの先生の勘が悪ければ本当の友達を紹介していますが、まあ勘が悪そうじゃなかったので多分大丈夫です。ちゃんと一番恨みのある、村井さんからイジられている生徒を言ってくれたはずです」
まさかそんな頭脳戦が繰り広げられていたなんて。虎太郎お兄ちゃんはやっぱり頭が良い。そう思った時だった。
「おちゃまー! そよー! だからアタシは別室に行って聞き取りやすくしたかったんだわー! 龍くんが止めちゃうからー!」
いや絶対そんなこと考えていなかったでしょ、と思ったけども、王茶先生は何だか満足げにそう言ってきたので、そこはもう相槌を打つだけにした。
パソコン室の前に立つと、中からあの、ノッチという生徒のデカい声が聞こえてきた。
王茶先生はノックと同時にドアを開けるという、何か嫌な人のヤツをやると、中にはメガネをかけた男子生徒二人と、ノッチさんがいた。
ノッチさんがこちらを見るなり、
「さっきのー! アサセン、ハッキリ坂本と石谷がイジメられてるって言ったんだなー!」
アサセン、は、浅田先生かな、確かさっきの先生の苗字が浅田だったはず。
というかイジメられているって、まさしくビンゴというか当たりというヤツだ。
坂本だが石谷だが分からないけども、背の高いほうが、
「そうだよ! イジメられているよ! だからイジメられている生徒が村井のこと倒せるはずねぇだろ!」
もう片方の小太りのほうが、
「やめろって坂本……部外者もいるからちょっと恥ずかしいよ……」
どうやら背の高いほうが坂本さんで、小太りのほうが石谷さんらしい。
すると虎太郎お兄ちゃんが即座に、
「村井さんは、お二人様の家にもやって来るほうですか?」
それに答えたのはノッチさんだった。
「そうなんよ! つーか全員の家を把握してやって来るよなぁ! まあワシの家は敷居が高過ぎて一度来たらもう来なくなったんじゃ!」
石谷さんのほうが小声で「ジジイが老害過ぎるせいでしょ」と言うと、ノッチさんは石谷さんのほうを睨みながら、
「それは! ワシも思とるわぁぁああああ!」
と声を荒らげた。思っているんかい。家族もちゃんと思っているパターンあるんだ。
ノッチさんはそのデカい声の勢いそのままに、
「早く自白せぇい! 村井が最後パソコン部のオマエらに会いに行くって言ってたの知っとるんよ! この地獄耳で!」
地獄耳の自称とかもあるんだ、珍しっ。
「早く自白せんかったら! ワシがまた犯人になるんじゃ! もう流れがそうなってるんよ!」
背の高いほうの坂本さんが、
「それは自業自得だろ! 意味無くデッカイ事件に仕立て上げ! でも自分が犯人で! それでぼくを犯人に仕立て上げようとして! 結局学級委員長に言葉の矛盾を突かれて自白して! 何がしたいんだ! あのパソコンのキーボードにお茶こぼした事件って!」
「おぉぉおおおおおおい! 全部言うなよ! 部外者いるんだぞ!」
何この部外者いるんだぞ再放送、本当にさっき聞いたよ。
虎太郎お兄ちゃんは周りの雰囲気に流されず、堂々と、
「それではパソコン部に村井さんは来たんですか?」
石谷さんのほうはちょっと困惑しながら、
「きっ、来てない!」
と言うと、僕たちよりも先にノッチさんが、
「いいや! パソコン部に来たんだよ! 絶対に!」
虎太郎お兄ちゃんは一呼吸置いてから、
「村井さんは道路の歩道で倒れていたという話ですが、学校の近くですか?」
ノッチさんは「なんだそりゃ!」と叫んでから、
「そんなことも知らんで口突っ込んどんのか! 学校の裏手の! あんま人通らないほうの道じゃ! 土地勘無いヤツが口を挟んでくんな!」
「分かりました」
と言うと、そのまま虎太郎お兄ちゃんは部屋から出て行こうとしたので、僕は「え」と声を漏らしてしまうと、虎太郎お兄ちゃんから、
「まずは土地勘を作るしかないですね、許可は得ているので高校の周りを見ていこうと思います。龍も王茶先生も行きましょう」
と促されたので、三人で部室から出ることにした。
虎太郎お兄ちゃんはすぐに近くの階段をおり始めて、
「まずはもう一度、浅田先生に話を聞きましょう」
と言って職員室に向かった。
すると職員室でも何か若干の言い合いみたいな声があがっていて、もしかするとノッチがワープしてきたのかなと思った。いつも通り王茶先生がノックと同時に開ける、いわゆるトントンガチャを行ない(実際は引き戸なのでトントンガラガラガラだけども)中に入ると、浅田先生が他の先生に囲まれて、あわあわしていた。