幸せの苦痛
2話「夏の終わり」
中学三年生の夏。
美桜から、別れを告げられた。
突然だった、と言い切れるほど、何の前触れもなかったわけではない。
少しずつ変わっていたものがあったのだと思う。
それでも、実際にその言葉を聞いたとき、僕はすぐには受け止められなかった。
「ごめんね」
彼女はそう言った。
僕は、何かを言おうとした。
でも、何を言えばいいのか分からなかった。
引き止めたかったのか。
もう一度やり直したかったのか。
それとも、ただ以前のように笑ってほしかったのか。
いろいろな気持ちが混ざって、自分でも整理できなかった。
それでも、僕は彼女の気持ちを受け止めようとした。
彼女には彼女の考えがある。
僕が好きだからといって、その気持ちを無理に変えさせることはできない。
そう思ったからだ。
友達には、できるだけ明るく話した。
「まあ、普通に別れたよ」
本当は、そんなに簡単な気持ちではなかった。
でも、どこまで話せばいいのか分からなかった。
自分がどれだけ悲しかったのか。
何が一番つらかったのか。
それを誰かに説明することが、難しかった。
恋人と別れたことだけが悲しかったのではない。
当たり前のように続いていた時間が、突然、当たり前ではなくなったこと。
甘えられる場所が一つなくなったこと。
何でもない日に、何となく話しかける相手が変わってしまったこと。
そんな小さな変化が、思っていた以上に心に残った。
それでも、僕は彼女を責めたくなかった。
僕自身、彼女を傷つけてしまったことがあったから。
自分が悲しいからといって、相手だけを悪者にしたくはなかった。
夏は、いつもどおり過ぎていった。
空は青く、蝉は鳴き、時間は止まらなかった。
ただ、僕の中にあった何かが、静かに変わってしまった。
美桜から、別れを告げられた。
突然だった、と言い切れるほど、何の前触れもなかったわけではない。
少しずつ変わっていたものがあったのだと思う。
それでも、実際にその言葉を聞いたとき、僕はすぐには受け止められなかった。
「ごめんね」
彼女はそう言った。
僕は、何かを言おうとした。
でも、何を言えばいいのか分からなかった。
引き止めたかったのか。
もう一度やり直したかったのか。
それとも、ただ以前のように笑ってほしかったのか。
いろいろな気持ちが混ざって、自分でも整理できなかった。
それでも、僕は彼女の気持ちを受け止めようとした。
彼女には彼女の考えがある。
僕が好きだからといって、その気持ちを無理に変えさせることはできない。
そう思ったからだ。
友達には、できるだけ明るく話した。
「まあ、普通に別れたよ」
本当は、そんなに簡単な気持ちではなかった。
でも、どこまで話せばいいのか分からなかった。
自分がどれだけ悲しかったのか。
何が一番つらかったのか。
それを誰かに説明することが、難しかった。
恋人と別れたことだけが悲しかったのではない。
当たり前のように続いていた時間が、突然、当たり前ではなくなったこと。
甘えられる場所が一つなくなったこと。
何でもない日に、何となく話しかける相手が変わってしまったこと。
そんな小さな変化が、思っていた以上に心に残った。
それでも、僕は彼女を責めたくなかった。
僕自身、彼女を傷つけてしまったことがあったから。
自分が悲しいからといって、相手だけを悪者にしたくはなかった。
夏は、いつもどおり過ぎていった。
空は青く、蝉は鳴き、時間は止まらなかった。
ただ、僕の中にあった何かが、静かに変わってしまった。