占い師ミラと予言カード
犯人を探せ!
その日の放課後。
三人は、1年3組の前にいた。
次は、中島のラブレター問題を解決することにしたが、飯田から話を聞くのは中島に止められている。
だから、三人は中島が想いを寄せている男子の方に焦点を当てることにした。
まずはその人物がどういった人なのか、調べることにしたのだ。
「中島さんは『シュウくん』って言ってたやんな」
「うん、シュウって名前の人を呼んでもらおう」
「流石に直接すぎるだろ。苗字くらい、中島に聞いてからの方がよくないか」
「でも中島さんに聞いたら怪しまれるやろ」
「常田くんの言う通り、直接聞いた方が早くない? こんなコソコソやってもいつかバレるし」
三人がひそひそ話しをしていると、3組の教室からメガネの賢そうな男子が出てきた。
ミラは、すかさずそのメガネ男子に話しかける。
朝日が「ちょっと、黒瀬さん」と引き止めようとしたが遅かった。
「あの、すみません。人を探していて」
ミラが話しかけると「あ、君はたしか生徒代表の?」と反応した。
メガネ男子の方は、ミラのことを知っているようだ。
入学式で生徒代表の挨拶をしたからというのはもちろんだが、ミラは休んでいた数日で黒魔術が使える子と噂になっていたので、それも一つの理由なのだろうと推察した。
「はい、1年1組。黒瀬ミラ。生徒代表です」
大真面目に返事をするミラ。
朝日はそんなミラを見て、クククと笑う。
そして「黒瀬さんはこれやから困るわ」とミラの隣に立った。
「えっと、君は?」
メガネ男子は、チャラそうな外見の朝日に警戒する。
朝日は彼を安心させるように、優しい笑顔で自己紹介した。
「1年1組、朝日ヨウや。よろしく。で、君は?」
「…………!」
ミラは、朝日がさらっとメガネ男子の名前を聞き出そうとしていることに気づいた。
「さすが朝日くん」と心の中で拍手する。
目を輝かせるミラの心中は、朝日にお見通しだ。
朝日はまた呼び起こされそうな笑いをグッと堪えながら、メガネ男子に向き直った。
「ああ、僕は3組の一ノ瀬シュウです」
「!!!」
こんな奇跡があるだろうか!
「「「きたああああああ」」」三人の心の声が重なった気がした。
でも、シュウという名前なら、クラスに数人いてもおかしくはない。
この人物が中島の想い人かどうかは、まだ確定できない。
一ノ瀬は、不思議そうにミラと朝日を交互に見る。
「人を探しているって、誰かな? 呼んでこようか?」
そう質問されて、ミラは血の気が引いた。
一ノ瀬が気を遣ってくれたのはいいが、ミラは先ほどまで「シュウって名前の人はいますか」と聞こうとしていたのだ。
まずい、まずい。
目の前に「シュウ」を名乗る人物がいる以上、そんな聞き方をするのは憚られる。
ミラはどうしたものかと固まった。
すると、ミラの隣に立った人物がもう一人。
……常田だ。
「ああ、一ノ瀬シュウか。お前に用事があったんだわ」
「え……?」
もうひとりの不良はメガネ男子に容赦ない。
いつもの強めの口調と無表情。
一ノ瀬は明らかに怖がっている。
常田はそんな様子を気にもせず続けた。
「お前、飯田ユイと幼馴染だよな? 飯田から頼まれたことがあって」
突然。
常田は中島ではなく、飯田の名前を出した。
どうして飯田ユイの名前を?
ミラはパッと常田の顔を見上げた。
中島だと直接的すぎるからだろうか。
むむむとミラは考えながら今度は一ノ瀬の顔を見る。
すると、飯田の名前を聞いた一ノ瀬の顔が急にパッと明るくなった。
これは何かある。
「うん、そうだよ! ユイがなんて?」
ミラは目の前にいる一ノ瀬が中島の想い人ーーシュウくんであることをすぐに理解した。
だが、なぜ飯田の名前に反応してこうも頬を赤らめているのだろう。
ミラは脳をフル回転させる。
常田はそんなミラの隣で嘘を続けた。
「飯田がさ、これを一ノ瀬に渡しておいてくれって」
常田は、ポッケに入っていた飴を一ノ瀬に手渡した。
おいおい、常田よ。
この学校は、お菓子の持ち込み禁止だぞ。
ミラはツッコミを入れたかったが、何か考えがあるようだし、出そうになったセリフを呑み込んだ。
「え……?」
一ノ瀬は、不思議そうに飴を受け取った。
そして常田は「すぐポッケに入れろ。バレたらやばいからな」と一ノ瀬に指示した。
慌てて飴をポッケに入れる一ノ瀬。
今度はその肩を朝日がグイッと掴む。
「飯田さんから伝言。『部活頑張って』やって。あと『直接渡すのは恥ずかしいから俺らに頼んだけど、このことは次に二人で会う時も話題にしないでほしい。話題にされるのも恥ずかしいから』って」
一ノ瀬はぶわっと顔を赤らめた。
そして、メガネをクッとあげて、照れ隠しをする。
え……。
どうして飯田ユイの話をしてこの表情になるんだ。
まるで飯田ユイのことが……。
「ああ、もちろん。ユイがこんなことしてくれるなんて。ありがとう、おかげで部活頑張れるよ。ユイにも『ありがとう』って伝えてくれる?」
「ほな、伝えとくわ。飯田さんと話すとき、絶対に話題にしたらあかんで。俺らが叱られてまうわ」
朝日がそういって念押しすると、ニヤニヤを頑張って隠そうとする一ノ瀬が「わかってるわかってる。ありがとう」と再び三人に御礼を言って、去っていった。
ミラに恋というものなどわからない。
でもとても残酷なことが起きていることを肌で感じてしまった。
「仮面」のカードは「誰かが本音を隠している」。
本音を隠しているのは、中島なのか、飯田なのか、それとも、一ノ瀬なのかーー。
三人は、1年3組の前にいた。
次は、中島のラブレター問題を解決することにしたが、飯田から話を聞くのは中島に止められている。
だから、三人は中島が想いを寄せている男子の方に焦点を当てることにした。
まずはその人物がどういった人なのか、調べることにしたのだ。
「中島さんは『シュウくん』って言ってたやんな」
「うん、シュウって名前の人を呼んでもらおう」
「流石に直接すぎるだろ。苗字くらい、中島に聞いてからの方がよくないか」
「でも中島さんに聞いたら怪しまれるやろ」
「常田くんの言う通り、直接聞いた方が早くない? こんなコソコソやってもいつかバレるし」
三人がひそひそ話しをしていると、3組の教室からメガネの賢そうな男子が出てきた。
ミラは、すかさずそのメガネ男子に話しかける。
朝日が「ちょっと、黒瀬さん」と引き止めようとしたが遅かった。
「あの、すみません。人を探していて」
ミラが話しかけると「あ、君はたしか生徒代表の?」と反応した。
メガネ男子の方は、ミラのことを知っているようだ。
入学式で生徒代表の挨拶をしたからというのはもちろんだが、ミラは休んでいた数日で黒魔術が使える子と噂になっていたので、それも一つの理由なのだろうと推察した。
「はい、1年1組。黒瀬ミラ。生徒代表です」
大真面目に返事をするミラ。
朝日はそんなミラを見て、クククと笑う。
そして「黒瀬さんはこれやから困るわ」とミラの隣に立った。
「えっと、君は?」
メガネ男子は、チャラそうな外見の朝日に警戒する。
朝日は彼を安心させるように、優しい笑顔で自己紹介した。
「1年1組、朝日ヨウや。よろしく。で、君は?」
「…………!」
ミラは、朝日がさらっとメガネ男子の名前を聞き出そうとしていることに気づいた。
「さすが朝日くん」と心の中で拍手する。
目を輝かせるミラの心中は、朝日にお見通しだ。
朝日はまた呼び起こされそうな笑いをグッと堪えながら、メガネ男子に向き直った。
「ああ、僕は3組の一ノ瀬シュウです」
「!!!」
こんな奇跡があるだろうか!
「「「きたああああああ」」」三人の心の声が重なった気がした。
でも、シュウという名前なら、クラスに数人いてもおかしくはない。
この人物が中島の想い人かどうかは、まだ確定できない。
一ノ瀬は、不思議そうにミラと朝日を交互に見る。
「人を探しているって、誰かな? 呼んでこようか?」
そう質問されて、ミラは血の気が引いた。
一ノ瀬が気を遣ってくれたのはいいが、ミラは先ほどまで「シュウって名前の人はいますか」と聞こうとしていたのだ。
まずい、まずい。
目の前に「シュウ」を名乗る人物がいる以上、そんな聞き方をするのは憚られる。
ミラはどうしたものかと固まった。
すると、ミラの隣に立った人物がもう一人。
……常田だ。
「ああ、一ノ瀬シュウか。お前に用事があったんだわ」
「え……?」
もうひとりの不良はメガネ男子に容赦ない。
いつもの強めの口調と無表情。
一ノ瀬は明らかに怖がっている。
常田はそんな様子を気にもせず続けた。
「お前、飯田ユイと幼馴染だよな? 飯田から頼まれたことがあって」
突然。
常田は中島ではなく、飯田の名前を出した。
どうして飯田ユイの名前を?
ミラはパッと常田の顔を見上げた。
中島だと直接的すぎるからだろうか。
むむむとミラは考えながら今度は一ノ瀬の顔を見る。
すると、飯田の名前を聞いた一ノ瀬の顔が急にパッと明るくなった。
これは何かある。
「うん、そうだよ! ユイがなんて?」
ミラは目の前にいる一ノ瀬が中島の想い人ーーシュウくんであることをすぐに理解した。
だが、なぜ飯田の名前に反応してこうも頬を赤らめているのだろう。
ミラは脳をフル回転させる。
常田はそんなミラの隣で嘘を続けた。
「飯田がさ、これを一ノ瀬に渡しておいてくれって」
常田は、ポッケに入っていた飴を一ノ瀬に手渡した。
おいおい、常田よ。
この学校は、お菓子の持ち込み禁止だぞ。
ミラはツッコミを入れたかったが、何か考えがあるようだし、出そうになったセリフを呑み込んだ。
「え……?」
一ノ瀬は、不思議そうに飴を受け取った。
そして常田は「すぐポッケに入れろ。バレたらやばいからな」と一ノ瀬に指示した。
慌てて飴をポッケに入れる一ノ瀬。
今度はその肩を朝日がグイッと掴む。
「飯田さんから伝言。『部活頑張って』やって。あと『直接渡すのは恥ずかしいから俺らに頼んだけど、このことは次に二人で会う時も話題にしないでほしい。話題にされるのも恥ずかしいから』って」
一ノ瀬はぶわっと顔を赤らめた。
そして、メガネをクッとあげて、照れ隠しをする。
え……。
どうして飯田ユイの話をしてこの表情になるんだ。
まるで飯田ユイのことが……。
「ああ、もちろん。ユイがこんなことしてくれるなんて。ありがとう、おかげで部活頑張れるよ。ユイにも『ありがとう』って伝えてくれる?」
「ほな、伝えとくわ。飯田さんと話すとき、絶対に話題にしたらあかんで。俺らが叱られてまうわ」
朝日がそういって念押しすると、ニヤニヤを頑張って隠そうとする一ノ瀬が「わかってるわかってる。ありがとう」と再び三人に御礼を言って、去っていった。
ミラに恋というものなどわからない。
でもとても残酷なことが起きていることを肌で感じてしまった。
「仮面」のカードは「誰かが本音を隠している」。
本音を隠しているのは、中島なのか、飯田なのか、それとも、一ノ瀬なのかーー。