(仮)映えの天才、スイーツ研究部を救います!
すると栗原くんは、少しだけ迷うように間を置いてから口を開いた。
「まあ、それは置いといて」
「置いとかないでほしいけど⁉︎」
わたしのツッコミは届かず、急に真面目な顔になった栗原くん。
「――桜井さんにお願いしたいことがある」
「……お願い?」
わたしはぱちっと瞬きをした。
栗原くんは少しだけ姿勢を正す。
「実は、うちのスイーツ研究部、このままだと廃部になるかもしれない」
「……ええっ⁉︎」
また大きい声が出そうになって、慌てて口を押さえた。
廃部?
スイーツ研究部が?
「どうして?」
「人員不足と、人気不足」
「に、人気不足……」
なんだか急に現実的な話だ。
「文化祭で結果出せなかったら、そこで終了」
「終了って、ゲームみたいに言わないでよ!」
スイーツ研究部って、名前だけでもう絶対楽しいじゃん!
手作りのお菓子を食べたり、新作スイーツを考えたり。そんな場所がなくなっちゃうなんて、もったいなさすぎる。
「だから」
栗原くんがまっすぐわたしを見る。
「『もかろん』の力を借りたい」
「……へ?」
「文化祭までに、うちの部をバズらせてほしい」
「バズ……⁉︎」
思わず目をまんまるにする。
わたしが?
スイーツ研究部を?
「え、え、え、ちょっと待って! 情報量多すぎるんだけど!」
わたしは思わず両手をぶんぶん振った。
「まず整理させて!」
「どうぞ」
「栗原くんは『イチ』さん」
「うん」
「わたしが『もかろん』ってことがバレた」
「そうだな」
「スイーツ研究部が廃部寸前」
「その通り」
「で、わたしに助けてほしいってこと?」
「そういうこと」
わたしは頭を抱えた。
「急にイベント多すぎない⁉︎」
今日はただ、新作パフェを撮って、ゆっくり食べて帰るだけの予定だったのに。
どうしてこうなった⁉︎
「とにかく」
栗原くんはテーブルの向かいに腰を下ろした。
「文化祭まで、あと三ヶ月」
「そ、そうだよね」
「その間に、うちの部の知名度と人気を上げたい」
「知名度と人気って……アイドルみたい」
「似たようなもんだろ」
「いや、違うと思うけど⁉︎」
わたしが思わずツッコむと、栗原くんは少しだけ肩をすくめた。
「うちの部、味には自信があるんだ」
「へぇ……!」
それはちょっと興味がある。
甘くておいしいもの、大好きだもん!
「でも、宣伝が絶望的に下手」
「絶望的って……」
「去年の文化祭ポスター、見せる」
栗原くんがスマホを取り出して、画面をこちらに向けた。
そこに写っていたのは、白背景に黒文字だけの、あまりにシンプルすぎるポスター。
【スイーツ研究部
手作りお菓子販売します】
「……」
「……」
わたしたちは、しばらく無言になった。
「どう?」
「えっと」
慎重に言葉を選ぶ。
「すごく、まじめ」
「オブラートに包みすぎだろ」
「だって!」
もっとこう、あるでしょ⁉︎
かわいいイラストとか、おいしそうな写真とか!
色使いとか、文字の配置とか!
「これじゃ文化祭っていうより、町内会のお知らせだよ……」
「やっぱりこれじゃダメか」
「ダメだよ!」
思わず身を乗り出した。
「スイーツって、見た瞬間に『かわいい!』『食べたい!』って思わせるのが大事なんだよ!」
「……やっぱり詳しいな」
はっ。つい熱く語っちゃった。
「いや、その、別に偉そうに言いたいとかじゃなくて……」
「わかってる」
栗原くんが少しだけ笑う。
「だから桜井さんに頼んでる」
「うっ……」
まっすぐ言われて、言葉に詰まる。
たしかに、このポスターはかなり改善しがいがある。
というか、めちゃくちゃ改善したい!
なんだろう、この気持ち。
片付けられてない部屋を見ると整理したくなる、みたいな、そんな感じ。
「ちなみに」
栗原くんがさらっと付け足した。
「協力してくれたら、スイーツ食べ放題」
「やる」
「即答かよ」
「だって、それは魅力的すぎるでしょ!」
気づいたときには、わたしは思い切り身を乗り出していた。
栗原くんがふっと笑う。
「交渉成立ってことでいい?」
「う……」
しまった。
なんだかうまく乗せられた気がする。
……でも。
スイーツ研究部をバズらせるなんて、ちょっとだけ楽しそう……!
それに、わたしの写真で、もっとたくさんの人にスイーツの魅力を知ってもらえるなら。
「……期間限定だからね!」
「了解、広報担当」
こうしてわたしは、栗原くん率いるスイーツ研究部のSNS広報を手伝うことになった。
まさか、いつもの”スイーツ活“が、こんなことにつながるなんて。
甘くて賑やかな大作戦の始まりになるなんて。
――このときのわたしは、まだ知らなかった。
「まあ、それは置いといて」
「置いとかないでほしいけど⁉︎」
わたしのツッコミは届かず、急に真面目な顔になった栗原くん。
「――桜井さんにお願いしたいことがある」
「……お願い?」
わたしはぱちっと瞬きをした。
栗原くんは少しだけ姿勢を正す。
「実は、うちのスイーツ研究部、このままだと廃部になるかもしれない」
「……ええっ⁉︎」
また大きい声が出そうになって、慌てて口を押さえた。
廃部?
スイーツ研究部が?
「どうして?」
「人員不足と、人気不足」
「に、人気不足……」
なんだか急に現実的な話だ。
「文化祭で結果出せなかったら、そこで終了」
「終了って、ゲームみたいに言わないでよ!」
スイーツ研究部って、名前だけでもう絶対楽しいじゃん!
手作りのお菓子を食べたり、新作スイーツを考えたり。そんな場所がなくなっちゃうなんて、もったいなさすぎる。
「だから」
栗原くんがまっすぐわたしを見る。
「『もかろん』の力を借りたい」
「……へ?」
「文化祭までに、うちの部をバズらせてほしい」
「バズ……⁉︎」
思わず目をまんまるにする。
わたしが?
スイーツ研究部を?
「え、え、え、ちょっと待って! 情報量多すぎるんだけど!」
わたしは思わず両手をぶんぶん振った。
「まず整理させて!」
「どうぞ」
「栗原くんは『イチ』さん」
「うん」
「わたしが『もかろん』ってことがバレた」
「そうだな」
「スイーツ研究部が廃部寸前」
「その通り」
「で、わたしに助けてほしいってこと?」
「そういうこと」
わたしは頭を抱えた。
「急にイベント多すぎない⁉︎」
今日はただ、新作パフェを撮って、ゆっくり食べて帰るだけの予定だったのに。
どうしてこうなった⁉︎
「とにかく」
栗原くんはテーブルの向かいに腰を下ろした。
「文化祭まで、あと三ヶ月」
「そ、そうだよね」
「その間に、うちの部の知名度と人気を上げたい」
「知名度と人気って……アイドルみたい」
「似たようなもんだろ」
「いや、違うと思うけど⁉︎」
わたしが思わずツッコむと、栗原くんは少しだけ肩をすくめた。
「うちの部、味には自信があるんだ」
「へぇ……!」
それはちょっと興味がある。
甘くておいしいもの、大好きだもん!
「でも、宣伝が絶望的に下手」
「絶望的って……」
「去年の文化祭ポスター、見せる」
栗原くんがスマホを取り出して、画面をこちらに向けた。
そこに写っていたのは、白背景に黒文字だけの、あまりにシンプルすぎるポスター。
【スイーツ研究部
手作りお菓子販売します】
「……」
「……」
わたしたちは、しばらく無言になった。
「どう?」
「えっと」
慎重に言葉を選ぶ。
「すごく、まじめ」
「オブラートに包みすぎだろ」
「だって!」
もっとこう、あるでしょ⁉︎
かわいいイラストとか、おいしそうな写真とか!
色使いとか、文字の配置とか!
「これじゃ文化祭っていうより、町内会のお知らせだよ……」
「やっぱりこれじゃダメか」
「ダメだよ!」
思わず身を乗り出した。
「スイーツって、見た瞬間に『かわいい!』『食べたい!』って思わせるのが大事なんだよ!」
「……やっぱり詳しいな」
はっ。つい熱く語っちゃった。
「いや、その、別に偉そうに言いたいとかじゃなくて……」
「わかってる」
栗原くんが少しだけ笑う。
「だから桜井さんに頼んでる」
「うっ……」
まっすぐ言われて、言葉に詰まる。
たしかに、このポスターはかなり改善しがいがある。
というか、めちゃくちゃ改善したい!
なんだろう、この気持ち。
片付けられてない部屋を見ると整理したくなる、みたいな、そんな感じ。
「ちなみに」
栗原くんがさらっと付け足した。
「協力してくれたら、スイーツ食べ放題」
「やる」
「即答かよ」
「だって、それは魅力的すぎるでしょ!」
気づいたときには、わたしは思い切り身を乗り出していた。
栗原くんがふっと笑う。
「交渉成立ってことでいい?」
「う……」
しまった。
なんだかうまく乗せられた気がする。
……でも。
スイーツ研究部をバズらせるなんて、ちょっとだけ楽しそう……!
それに、わたしの写真で、もっとたくさんの人にスイーツの魅力を知ってもらえるなら。
「……期間限定だからね!」
「了解、広報担当」
こうしてわたしは、栗原くん率いるスイーツ研究部のSNS広報を手伝うことになった。
まさか、いつもの”スイーツ活“が、こんなことにつながるなんて。
甘くて賑やかな大作戦の始まりになるなんて。
――このときのわたしは、まだ知らなかった。


