その溺愛、予想外につき。
音楽が止まったあともしばらく、息が整わなかった。

胸が苦しい。
足も少し痛い。
きっと動きはひどかった。
自分でもわかるくらい、振りは甘いし、体の軸もぶれていた。

鏡の中の私は、頬を赤くして肩で息をしている。
こんなの、とてもじゃないけどアイドルなんかに見えない。

真白さんは腕を組んだまま、しばらく黙っていた。
何かを考えるように、私と鏡と、タブレットの画面を順番に見ている。

その沈黙が怖い。
早く何か言ってほしいのに、言われるのも怖かった。

先に口を開いたのは黒崎さんだった。

「どうですか」

真白さんはすぐには答えなかった。
やがて小さく息をついて、はっきりと言う。

「現時点では、無理」

胸がずしんと沈んだ。

やっぱり。
そうだよね。
さっき少しだけ期待してしまった自分が恥ずかしい。

隣で、涼の指先がぴくりと動くのが見えた。
兄も、きっと覚悟していた答えだ。
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