その溺愛、予想外につき。
全部、知っている。

それなのに、ふわりはまだ気づいていないと思っているらしい。

たぶん、怖いんだろう。

ばれたら、ここにいられなくなるかもしれない。
みんなに拒まれるかもしれない。
俺にも、違う目で見られるかもしれない。

だから俺は、知らないふりをしている。

ふわりが自分から話してくれるまで。

「ただいま」

休憩室のドアを開けると、ふわりがびくっと顔を上げた。

「遅い」

「ごめんごめん。荷物が多くて」

「……心配した」

小さな声で言われて、胸があたたかくなる。

ふわりはすぐに口元を引き締めた。
涼らしくしようとしたんだろう。

でも、俺にはわかる。

今の言葉は、涼じゃない。
ふわりの本音だ。

「はい、足出して」

「自分でできる」

「はいはい」

椅子の前にしゃがみ込み、痛めた足首に冷却シートを当てる。

ふわりの身体が、ぴくっと揺れた。

「痛い?」

「……平気」

「また強がってる」

「強がってない」

「じゃあ、ふわり」

その名前を口にした瞬間、ふわりの瞳が大きく揺れた。
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