極東4th
 今日、真理は自分の能力を乗せるつもりだった。

 初陣の時は、早紀を制御しつつ、戦いに慣れなければならなかったのだ。

 剣技そのものは、幼少から当然のごとく学んではいるが、魔族の戦いとしてはそれだけでは無意味だ。

 蝕の前には、金の鎧が一人。

 あれが、一番速く来た敵さんのようだ。

 魔族側では、真理が一番ということか。

 真理は、刀を握る手に魔力を集めた。

 早紀のステルスは全開のようで、警戒はしているが、彼の接近はまったく気づいていない。

「来い…」

 鎧の指が、がちっと音を立てた。

 そのまま、刀と一体化する。

 指に集めた冷気が、真っ白い結晶となってつないだのだ。

 そのまま。

 刃の切っ先まで、白く彩られる。

 予想以上だった。

 早紀が海族と関わりがあるのを証明するかのように、水にまつわる刀は予想以上に彼の冷気を受け入れた。

 飽和する水分までも凍らせたのか、無数の氷の棘が刀から張り出す。

 元の水馬刀の形とは、似ても似つかぬ針の刀。

 悪くない。

 前の形は、とても好きにはなれなかったが、これはまさに真理の能力を体現している気がしたのだ。

 その刀を。

 たとえ前回、早紀のステルスを体験していたとしても、対処出来るはずもない哀れな天族に振り下ろす。

 気づいたら、斬りつけられている。

 そんな、屈辱的な一瞬。

 だが。

 天族は、前回のように墜落はしなかった。

「くっ!」

 深々と、鎧に大傷を負いながらも踏みとどまり──斬り返してきたのだ。

 きちんと、認識した反撃ではなかった。

 ハハハッ。

 真理は、笑いながらその一撃を刀で受けた。

 無数の棘を壊しながらも、相手の剣や腕に真理の氷が飛ぶ。

 魔力による冷気。

 天族にとって、それを浴びるのは――火を浴びるようなものに違いなかった。
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